正しい情報を得たとしても鵜吞みにせずに「自分の健康は自分で守る」野菜情報VOL.663 令和5年7/2~7/8

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  立花隆とNHKスペシャル取材班による「がん 生と死に挑む」(2010年 文藝春秋刊)という本からの長い引用になりますが、非常に興味深く、ショッキングな内容です。「僕自身(立花隆)ががんになって癌関係のシンポジウムに招かれたときのことです。それは朝日新聞の主催で開かれた一般市民向けの大きなシンポジウムだった。僕以外の演者はすべて、大学や大学病院のそうそうたる名医ばかりが集まっていた。昼休みだったとき、控え室でみなが雑談的にいろんな話をしていた。いつの間にか話題が抗癌剤の事になっていた。抗癌剤がどれほど効かないかの話を一人が話しだすと、皆が具体的な抗癌剤の名前をあげて、次から次にそれがどれほど効かないかを争うかのように、話し始めました。『結局、抗癌剤で治る癌なんて、実際にはありゃせんのですよ』と議論をまとめるように大御所の先生が言い出すと、皆そのとおりだという表情でうなずきました。僕はそれまで効く抗癌剤が少しでもあるのではと思っていましたが。それじゃ『患者よ がんと闘うな』の著者の近藤誠さんの言っていたことが正しかったと言う事になるじゃありませんか?と問うと、大御所の先生はあっさりと『そうですよ、そんなことみんな知ってますよ』と言いました。私(立花隆)が近藤理論が基本的に正しいのだと、認識が大きく変わったのは、あの瞬間でした。」

 近藤誠氏は慶応義塾大学医学部放射線科の医師であり、ガン治療を中心とした現代医療に疑問を投げかけ、数多くの本を出版したベストセラー作家です。近藤医師はガンには転移をする「本物のガン」と転移をしない「ガンもどき」があり、「本物のガン」は見つかった時にはすでに転移しているので治療は間に合わず、転移をしない「ガンもどき」は命に関わる事はなく、かえって手術や抗がん剤などの治療が寿命を縮めるという独自の「ガン放置論」を掲げ、著作を繰り返しました。

 「医者を40年やってきた僕が、いちばん自身をもって言えるのは『病院によく行く人ほど、薬や治療で命を縮めやすい』ということです。」という思いの中で書かれた近藤医師の「医師に殺されない47の心得」(アスコム)は、140万部の大ベストセラーになっています。本の中の47の心得の中で、「一度に3種類以上の薬を出す医者は信用するな」では、薬の副作用は実は主作用であり、クスリの種類が増えれば、副作用はネズミ算式に増えるという薬の危険性を指摘しています。また、「血圧130で病気」では、基準値をさげて病人を増やして利益を増やす医療業界全体の構造を指摘しています。その他にも、抗がん剤によるガン治療の問題点やCTによる放射線被ばくの問題など、現代医療に関する数々の内部からの告発は非常に興味深い内容でした。

 しかし、「医師に殺されない47の心得」を読み進める中で、「100歳まで元気に生きる『食の心得』」には驚きました。「自然塩より精製塩の方が安心」、「コレストロールを減らさない健康法を選ぶ」、「毎日、たまごと牛乳」と書かれており、何一つ同意できるものがありませんでした。同じ医師であった森下敬一先生が提唱された「自然医食」という、「げんきの市場」が佐藤先生から学んでいる内容とは全く違うものです。現代医療の闇を内部告発した行為は価値がありますが、それにより近藤医師を信用した人たちが、この食をしたら「病気」を招くようなものです。医療界からも「ガン放置論」に対しては多くの反論を浴びていますが、食の観点からも反論せざるを得ません。立花隆氏が支持する現代医療への批判は正しものでしたが、その批判する事実に対しての対処法については、疑問を感じるのがこの本を読み終えた感想です。一つの正しい情報を得たとしても、それで全てを鵜吞みにせずに、色々な情報を吟味した中で「自分の健康は自分が守る」が原則です。

 

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