田植えと焚き火 テクノロジーがなくしたもの 愛は農園にある。 第十六葉 ここさんぽ 中川ゆか 

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紫陽花が咲きはじめました。雨に濡れるといっそう色が深まり、大好きな花です。
 
 5月下旬、越谷の「半農半楽の会」の田植えに参加させてもらいました。東京から遊びに来た甥っ子も「やってみたい」と言うので一緒に連れて行きました。
 ところが、いざ田んぼに入ろうとすると、泥の中にはざりがにや小さな生き物たちがいることに大騒ぎ。「ざりがにこわい!食べられるから絶対入らない!」と、あぜ道から一歩も動きません。

 そんな甥っ子の背中を押してくれたのは、田植えで出会った1個上のお兄ちゃんでした。虫を捕まえて見せてくれると、甥っ子は田んぼの生き物探しに夢中に。やがて自分から泥に足を入れ、かえるを探し、気づけば泥に浸かって田植えをしていました。

 一人だと怖いことも、誰かがやっていると「やってみよう」と思える。
一緒にやると、どんどん楽しくなる。
泥のやわらかさ、生き物たちの生命力に触れる、心がひらく時間。

 みんなで行う農作業は、自然とのつながり、人とのつながりを育てます。昔は田植え休みがありました。子どもからお年寄りまで、近所総出で田植えを手伝います。『となりのトトロ』の映画にも描かれていますね。
 今は機械が作業をするから、近所の人の手伝いはいらなくなりました。

 3年間お金を使わずに生活したマーク・ボイルの著書『ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした』には、こんな指摘があります。
 魔法瓶ができたことで、農作業の休憩に熱いお茶を沸かすための焚き火がいらなくなり、焚き火を囲む人々の団らんの時間が消え、地域の関係性が薄れていった。

 暮らしや仕事を魔法のように支える現代テクノロジーはとても便利です。でも、便利さの影で失われたものにも、そっと目を向けていきたいと思います。

*6月6日は吉川の有機農家の山崎さんの畑でじゃがいもの収穫体験と焚き火のカレー会をします。古来から人々の心を癒し、つなげてきた焚き火。存分に楽しみたいです。

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