「家族農業から持続可能な未来」野菜情報VOL.536令和 11/29~12/5

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  • 家族農業が世界を変える。
  • 家族農業は世界の食糧の8割を生産している。
  • SDGsを解決するカギは家族農業にある。

国連は、2016年に2030年までに「持続可能な開発目標」(SDGs) を世界に呼びかけています。このSDGsはこの地球全体のあるぺき未来のために社会、経済、環境の3つの基礎分野を「飢餓をなくす」、「住み続けられるまちづくりを」、「陸の豊かさを守ろう」といった17分野の開発目標をあげて、私たちの意識改革とともに、社会の仕組みを根本的に転換することを求めています。その宣言文である2030年アジェンダ宜言には、私たちが「地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれない」とし、人類と地球の末来は、私たちの手の中にあり、そのたいまつを今日の若い世代から未来の世代へとつなぎ、その道のりが成功し、後戻りしない確かなものとなる事は、私たちすべてのためになると書かれています。そして、このSDGsの目標に貢献できるとして期待されているのが家族農業であり、国連は2019年から28年を「家族農業の10年」と定めました。

第二次世界大戦後に広まった「緑の革命」と呼ばれた農業の近代化こそが、世界の飢餓や貧困の問題を解決すると信じられてきました。しかし、実際は、化学農薬や化学肥料は土の中の微生物を殺し、生物の多様性を失わせるなどの環境への影響、また村の過疎化といった社会への影響など様々な弊害を巻き起こしていきました。そして、新自由主義により食料も工業製品と同じように、競争力が生まれ、効率性が増し、「最適配分」が実現するため飢餓はなくなると考えられていましたが飢餓はなくならず、グローパル企業の収奪が一層激しくなりました。そうした中で、国連貿易開発会議が2013年に「手遅れになる前に目覚めよ一気候変動時代の食糧安全保障のために、今こそ真に持続可能な農業を」と題した報告書を出し、「緑の革命」型の腹法、単一栽培(モノカルチャー)、化学肥料・農薬に依存する工業的農業から、小規模な家族農業による持続的で生産性が高いアグロエコロジーヘ移行する必要性を訴えています。

家族農業は世界の農業の9割以上で、農地の70~80%を用いて、世界の食糧の80%以上を生産しています。まさに食糧安全保障および食糧主権の中心的存在です。そして、そうした農業が生態系の一部として振る舞い、他の多様な生物を尊重して共存する道を選ぶか、それとも生態系を破壊して、人間も破壊していく道を選ぶかは私たちの未来への選択にもなります。

アグロエコロジーとは、直訳すれば「農業生態学」ということですが、有機農業や自然農法のように自然界の循環資源を活用しながら化石燃料に頼らないでエネルギー効率が高く、自然の生態系を模倣し、実践し、生まれる社会運動であるといわれています。そして、そうした農業に関わる中での最大の問題点は農業従事者の所得の安定であり、社会的な評価の確立です。「げんきの市場」の歴史は、まさにその問題点と対峙しながらの歴史でした。時代が今、「げんきの市場」と重なり出しています。私たちが皆様と共に歩んでいるその道はまだ半ばですが、ご縁を頂いた生産者や消費者の皆様と共に必ず切り開いてまいりましょう。私たちの子供達の未来と私たちの地球のために。
参考文献:「13歳からの食と農」関根佳恵

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