「『本みりん』でないのに伝統製法?」で、『味の母』をフォーカス 野菜情報VOL.636令和12/11~12/17

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 若い奥様が買い物に来られて「味の母」という発酵調味料を指さして「市販のものとどこが違うのですか?」と質問をされました。そのお客様はお子様のアトピーがひどくなり食べものを気にかけるようになったとの事で、「ネットでは醤油やお味噌など調味料は伝統製法のものが良いと書いているんですけど…、この「味の母」は『本みりん』ではないんですよね」という事でした。そこで今週は自然食品店でよく見かける「味の母」という調味料についてご紹介をいたします。

 

 「本みりん」は、一般的にもち米、米麹、焼酎、アルコール、ブドウ糖、水あめ等を原料につくられます。現在でも伝統製法にのっとりつくられているものをありますが、価格を重視し工業的製法で大量生産されるようになってからは、原料、製法、熟成などは伝統製法のものとは異なった様々な「本みりん」が販売されています。このような現状の中で、伝統製法にのっとった「本みりん」で有名なのが「三河みりん」です。その「三河みりん」と「味の母」を比較して、その違いを見ていきます。

 「三河みりん」の原材料は国産のもち米と米麹と本格焼酎、「味の母」は国産のうるち米、米麹、食塩です。「三河みりん」は焼酎に蒸したもち米と米麹を加えて熟成をして造るのに対して、「味の母」は米と米麹で日本酒の基になる「もろみ」からつくります。そこに食塩を加えることにより酵母の発酵をあえて厳しい環境にして、より深く広いアルコール発酵にします。そして、その発酵過程を経ることにより「みりん」の味わいと「お酒」の働きを合わせ持つことになります。そして「本みりん」に含まれることのない食塩が入ることにより、種別は「本みりん」とは違う「発酵調味料」になります。

 「本みりん」が焼酎の発酵であるのに対して、「味の母」の最大の特徴は、日本酒を造る工程の発酵を経て「もろみ」から造られる為に「日本酒」と「みりん」の両方の良さを併せ持つという事です。ですから「味の母」ひとつで、みりんの「甘み、照り、つやをだす、旨味を与える」という働きと、お酒の「味をよく浸み込ませ、臭みを消し、煮くずれを防ぐ」という両方の働きをします。よく料理のテキストで「みりん少々、日本酒少々」という様に合わせて料理に使われていますが、「味の母」を入れるだけで大丈夫です。また「味の母」は塩分も含まれていますので、塩分を若干少なめにしてください。

 最後にスーパーなどでよく見かける種別が「みりん風味調味料」は調味料、酸味料、着色料、香料などを混ぜ合わせ「みりん風」に仕立てたものです。熟成による旨味や風味もなく、アルコールも1%未満です(ちなみに「味の母」は10%、「三河みりん」は14%のアルコール含有)。その為、価格が安いというメリットはありますが、「甘み、照り、つやをだし旨味を与える」といったみりん本来の調味効果は期待できません。「安い」には理由があります。

 

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