「世界一美味しい『プロの手抜き和食』 安部ごはんが豊かにするもの 野菜情報VOL.635令和12/4~12/10

 先週の「野菜情報」で取り上げた安部司氏が「世界一美味しい 『プロの手抜き和食』 安部ごはん」(東洋経済新報社刊)という料理本を出版されました。今週はそれをご紹介します。安部氏はご自身の実体験を基に食品メーカーの添加物の実態を暴いた「食品の裏側」は70万部を突破する大ベストセラーになり、その後安部氏は全国各地で講演会、食育セミナーに引っ張りだこになりました。その時に必ずと言っていいほど参加された方から聞かれるのが「では何を食べればいいのですか?」という事でした。そして、その時、決まって「ごく普通の和食です」と答えると、そこでまた必ず帰ってくる答えが「和食は作るのが面倒なんです」という言葉でした。

 「添加物の神様」と呼ばれていた当時の安部氏は一流料理店を食べ歩き、舌で味を覚え、また、人気料理家のレシピを研究して、徹底的に「自分の舌」で「味の分析」をして300品目超の添加物食品を世に出しました。その安部氏が今回15年の歳月をかけて膨大に書きなぐったレシピノートを基に、「時短、簡単・便利、そして安心・安全」でつくれる102個の和食レシピをつくりました。このレシピの最大のポイントは「手抜きしつつ、プロ並みの味が出せる」ことであり、この本の中で、そのベースとなる5つの「魔法の調味料」の作り方も紹介されています。

 この5つの「魔法の調味料」とは①かえし②みりん酒➂甘酢④甘みそ⑤たまねぎ酢です。この調味料を使うだけでひと手間かけたような複雑な味わいと、まるで長時間調理したかのような深みが出るとの事です。この5つの調味料はいずれも10分以内でつくる事ができ、保存もできます。そしてこれを使うことにより「和食」が時短料理に早変わりするという「究極のインスタント和食」レシピ集です。また、「かえし」をつくるだけでもこの本の多くの料理が出来ることから、まずは「かえし」という「魔法の調味料」から始めることをお勧めしています。

 安部氏は講演会の折に有機野菜や伝統調味料の良さを伝えると、8割程の人が「少々高くても、安心・安全な野菜や調味料が欲しい」という一方で、「でも、それらを使って『手作り』するのは時間がないし面倒…」と感じるのも事実でした。最終章の「本当に『おいしい』と感じる料理は人生を豊かにする」の中では、「感動すれば面倒くささはなくなり料理が楽しくなります。合理化、時短の時代ですが、『非効率』にこそ家庭の味、家庭料理のよさがあります。忙しい毎日だからこそ、ひと工夫して食の大切さに気づいて欲しい」と結んでいます。

 ドラマ「深夜食堂」や「365日の献立日記」などテレビに引っ張りだこの人気フードスタイリストの飯島奈美さんは「不器用な人がつくる大ぶりなササガキのキンピラ、器用な人が細くふんわりとしたキンピラ、十人十色のキンピラがあり、外食では味あえないオンリーワンの料理こそ、ふとした時に無性に食べたくなる」と著書の中で書かれています。そして、「楽しみながら作る料理は間違いなく美味しく、そういう料理はとても心に残るものです。そして、大人になってからも、そういう料理を作ってもらっていたこと、自分が大切にされていたことが自信になり、自分を大切にできるのだと思います」と述べられています。自然界と直接繫がる「食」は、私たちが地球に生きる「喜び」の原点です。そして「料理」は家族や自分を愛する姿です。この時代の中で、私たちは身体と共に心を育む「食の喜び」を、私たちなりにアレンジしながら守り続けて行きたいものです。

 

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