「食品業界の3分の1ルール」から何を捨てているのかを考える 野菜情報VOL.784 令和8年4/26~5/2

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産直のグループで働いていた頃(30年位前の話)、仲間のお店の方に聞いた忘れられない話です。「食品業界には3分の1ルールというのがあってね、これが、ホント、おかしなルールなんだよ。商品には販売期限というのがあってね。例えば賞味期限が6ケ月の場合、賞味期限が3分の2を過ぎると、残り2ケ月で、まだ賞味期限が残っていているのに、商品を棚から撤去して返品するの。だいたい賞味期限っていうのは『美味しく食べることが出来る目安』の期限で、『食べられなくなる期限』じゃないんだよ。それなのに、元々は缶詰やジャムなんかの保存食としてつくられている加工品も、このルールで返品して廃棄になるの。この仕組みおかしいよね、絶対」。日経MJ(流通新聞)によると、全国展開する広域量販店(全国にチェーン店を持つスーパーマーケット)が1990年代に制定し、他の小売店がこれに追随したと書かれています(2012年11月9日付)。

 この事実に対して食品ロス問題の専門家でジャーナリストの井出留美さんは「賞味期限の切れた商品を棚に放置しておくと、お客さんのからのクレームのもとになるので、早めに撤去した方がいいと考えた」と考察されています。井出さんは西日本にある小売店グループの経営陣の方に、「同じ加工食品でも、1週間の賞味期限のものと、3年間の賞味期限の缶詰では賞味期間の長さが格段に違っている。それを一律に扱うのは納得が出来ない。もう少し融通を利かせた対応は出来ないものか?」と疑問を投げかけると、返ってきたのは「個別対応は難しい」というものでした。これに対して井出さんは「管理する側にとっては、一括管理の方がラクで、『効率化』が図れるわけです。個々の企業が『効率化』を過剰に追い求めた結果、大量の食品ロスという、大きな不合理が生まれている」と、指摘されています。そして、彼女の著作「賞味期限のウソ」(幻冬舎2016刊)の中で、元コンビニオーナーの「コンビニ業界では、(ロス)はまず減らない。なぜなら捨てる事を想定して、店も本部も計画を立てているから」というコメントや、ファミリーレストラン、居酒屋、弁当店、焼き肉屋、パン屋、ケーキ屋、ドーナツ屋、披露宴会場、ホテル(のビュフェ)等といった大量に食品を廃棄せざる得ない苦悩をそうした業種の方々から聞かされていると書かれています。

 農林水産省のHPでも食べられるのに捨てられる「食品ロス」が取り上げられています。FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されていて、そのうち日本では1年間に612万トン(2017年度推計値)の食料が捨てられ、これは東京ドーム5杯分とほぼ同量で、日本人1人当りお茶碗1杯分のごはんの量が捨てられている計算になります。そして、日本の食品ロスの原因は大きく分けて2つあり、1つは先程から取り上げている事業系食品ロスで328万トン、もう1つが家庭から出る食品ロスで284万トンです。家庭からの「食品ロス」は、そのHPでは料理の作り過ぎによる食べ残しや、買ったのに使わずに捨ててしまう事、それに料理の時の皮のむき過ぎ等が考えられると書かれています。国連関係機関の調査(2024年)によると、世界で飢餓に直面した人数は6億3800万~7億2000万人と推定されており、世界人口の9人に1人に相当するとされています。そうした現実の中で、食料の60%以上を輸入に頼っている私たちですが、このまま何もせずにいていいものでしょうか?

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