有機農家でありイタリアンのシェフの羽沢さんをご紹介します 野菜情報VOL.666 令和5年7/23~7/30

  • URLをコピーしました!

 今年も青森の羽沢友佐(はざわゆうすけ)さんから無農薬無化学肥料栽培のトマトが「げんきの市場」に届き始めました。羽沢さんは1983年生まれ、今年で40歳になる若手の生産者です。げんきの市場とは羽沢さんが就農して間もない頃からのお付き合いで、大玉トマト、フルティカトマト、彩りミニトマト、にんにく、黒にんにくを頂いています。今週は夏の間、無農薬の野菜たちで私たちの旬の食卓を鮮やかに彩ってくださる羽沢さんをご紹介致します。

 羽沢さんは調理師専門学校を卒業の後、函館のイタリアンのレストランで働きだしました。そのレストランでは食材をスタッフが農家に出向いて直接仕入れており、その中で羽沢さんは酪農や野菜栽培に興味を持つようになりました。そうした日々の中で料理と向き合い、食材を掘り下げていくと、そこには農業がありました。そして25歳の時、自分で野菜を育てようと決意して青森に戻り、トマト農家の実習生になりました。「当時、オーガニックのトマトの農家さんで研修生を受け入れているところがなくて、一般栽培のトマト農家で栽培技術を学びました。そして1年後、その研修先のつてで、100坪のハウス4棟を手に入れ自分のやりたい農業を始めました。それが化学農薬無散布、無化学肥料栽培のいわゆるオーガニックだったので、最初は収量も少なく病気や虫には苦労しました。例えば害虫の防除は酢と焼酎を合わせたストチューをつくり散布して害虫防除しました。また、それ以外にも土が乾燥し過ぎてしまったり、トマトが割れてしまうなど、次々と栽培上の問題は発生しました。当初は冷涼な青森の夏と土壌病が少ないメリットを生かして始めたはずの無農薬栽培でしたが、異常気象の中で作物を育てる苦労を年々実感しています。」

 そして、28歳の時に念願だったご自身のお店イタリアンレストラン「FARM CAFÉ orta」(フャーム カフェ オルタ)をオープンいたしました。そして食材の野菜をつくりながらそれをご自身で調理してお客様に提供されています。「野菜づくりから始めているので、お客様にはなるべくシンプルな料理で楽しんでもらっています。今は甘い食べやすいトマトがもてはやされていますが、栽培しているトマトは少し前の品種で、トマト本来の香りやコクを楽しんでいただければと選んでいます。天候など毎日変わる状況を見極めながら、水をやるペースを変えていったり、余計な葉っぱをとったり、太陽に向けてトマトの角度を変えたり、毎日の作業を積み重ねながらトマトにとってベストを探しています。子育てと一緒で育つ環境を整える事を意識していますね。」

 羽沢さんの農業はホルモン剤や化学薬剤を全く使用しない無農薬無化学肥料栽培です。そして、地力が弱り堆肥を入れた時も抗生物質が入っていない鶏糞を見つけて使われました。以前、羽沢さんがにんにくの栽培を始めるにあたり、地元のにんにく農家に教えてもらいに行ったところ、植える前のにんにくを農薬の入った樽の中に一晩浸け、それを化学薬剤で土壌消毒した畑に植えているのを見て、その実態に驚いた話を羽沢さんからお聞きしたことがあります。そうした現代農業の中で「なぜ無農薬無化学肥料栽培にこだわるのか?」をお尋ねしたところ、「特別な思いとかではなくて、『それが普通なのがいいなあ』と思うんです。農業を始めて15年、毎年苦労していますが、それが面白いんですよ」と、答えられました。好きな料理の道を究めていたら食材づくりにまでたどり着いた誠実なお人柄が溢れた羽沢さんの野菜たちが、今年も「げんきの市場」に並んでいます。

よかったらシェアしてくださいね!
  • URLをコピーしました!