「危機の中でこそ『食糧』を守りたい」それが心からの願いです 野菜情報VOL.626 令和9/25~10/1

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 先日、ツイッターで「農業消滅」の著者、東京大学農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘(すずきのぶひろ)先生が「もはや食糧危機に備えよという段階ではなく、既に私達は食糧危機のただなかにいることを一人でも多くの人に気づいてもらいたい」というツイートを挙げられていました。

 ロシアのウクライナ侵攻長期化する中で、核の使用が懸念されています。そのような中、8月20日の朝日新聞デジタルで、米国などの研究チームが核戦争が起きると直接被害以外にも「核の冬」と呼ばれる気候低下などの影響により、最悪の場合、世界で50億人以上が餓死する可能性があるという試算が出しました。そして、その中で食料自給率の低い日本への影響は特に深刻だと警告しています。シュミレーションの中では、比較的部分的な核使用であるインドとパキスタンとの局地戦でも、なんと日本人の6割が餓死するというものです。

 2020年、新型コロナウイルス感染が拡大する中、世界で17カ国が米や小麦といった主要食品の自国需要を優先し、「輸出制限」をして確保しました。非常事態に国民の生命を守るため「輸出制限」をすることは、ある意味、やむを得ない事なのかもしれません。今年の夏、世界中は気候変動による超異常気象に見舞われました。パキスタンでは国土の3分の1が集中豪雨により冠水し、ヨーロッパでは500年に1度と言われる干ばつに見舞われ、インドでは気温が50℃達し、それにより世界有数の生産量を誇る小麦を「輸出制限」しました。核戦争以外にも、紛争やこのような異常気象、新たな感染症パンデミック(今までは考えることはありませんでしたが…)により日本に食糧が入らなくなることは十分に考えられます。

 9月9日、日本政府は「食料安定供給・農林水産業基盤強化本部」の会合を首相官邸で開き、これまでの米国からの食料輸入を前提にした食料安保体制から、自国民の食を確保する食料安全保障を強化するために、農林水産業の持続可能な成長を推進していく方針へと農林水産政策を大きく転換していことを決めました。ただ、それが「食料システム」を儲け先として考えている巨大資本主導の「ゲノム編集」などではなく、日本本来の小規模家族農家を基盤とするアグロエコロジー(生態系を守り、それを活用する農業)を推進していくものであることを強く希望します。

 冒頭の鈴木教授の「食糧危機のただなか…」には、「確かに価格は上がっても豊かな日本は何とかなる」と思われるかもしれません。しかし、私たちは今までに3.11や、新型コロナ当初など、突然にスーパーの棚から商品がなくなる状況を幾度か経験してきました。私たち「げんきの市場」はそのような、もしもの時のためにこそ、皆様のお役に立てることが出来ればと地域のオーガニック生産者の方々の野菜やお米を皆様に届けてきました。「食の安全」はもとより、万一の時にこそ皆様の「生命」を守る事が出来ればと心から願っています。

 

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