先日、タイの山岳民族が育てるコーヒーを巡るスタディツアーに参加しました。オーガニックな森林農法のコーヒーをフェアトレードで届け、環境活動も行うNGO「ナマケモノ倶楽部」が主催する旅です。
カレン族の村では、風が気持ちよく吹き抜ける家を自分で建て、家のすぐそばにバナナの木、山や森の中に畑を持ち、米や野菜、果物を育てています。
火をおこして料理をし、お弁当はバナナの葉で器用に包み、家で手織りした布の伝統服を身にまとい、夜は満天の星空の下、手作りの楽器で歌を歌いながら焚き火を囲む。
自然とともにある、穏やかで美しい暮らしがそこにありました。
暮らしの中で電気をあまり使わないため、夜に停電していたことを翌日の昼に村の人から聞くまで気づかなかったほど。
ただ、村では現金収入の手段が限られており、若者が都市に流れていくという課題がありました。
その状況を変えたのが、森の中でゆっくり育つコーヒーです。
丁寧に手摘みし、太陽の光で乾燥させたコーヒー豆は、オーガニックなコーヒーとして、世界中から求められます。
年長者が森のコーヒーの木を手入れし、森とともに生きる村の価値観をコーヒーにのせて都市に届け始めました。そして、コーヒーの仕事をするために若者が村に戻ってくるようになりました。
チェンマイの街で、村のコーヒーを味わえる小さなカフェを開いたカレン族の若者もいます。そのカフェは、村の文化を都市に伝えるだけではなく、都市で疲れた山岳民族が立ち寄り、情報交換をし、自分の誇りを取り戻し、村に戻るきっかけになる場所でもあるそうです。カフェの店主に「この仕事で一番うれしい瞬間は?」と聞くと、彼は迷いなく「村に帰るとき」と笑顔で答えました。都市に流れた仲間たちが村で自分らしさを取り戻し、 村が再び生き生きとしていくのを感じられるのが、たまらなく嬉しいようでした。
日本でも、北部タイの山岳民族が森で育てたコーヒーに出会えます。カレン族の「レイジーマンコーヒー」の豆の販売。アカ族のカフェ「アカアマコーヒー」(神楽坂・早稲田)。コーヒーの中に息づく、森とコミュニティの歩み。ぜひ味わってみてください。
*沈丁花のよい匂いが漂い始めました。暖かくなって虫たちが動き出すまで、あと少し。虫がまだ少ないこの時期、木蓮の花は、鳥たちの大切な朝ごはんです。
