「高野誠鮮の時星塾・プロローグ第2部・地方再生」というタイトルのYouTube番組の中で野菜栽培に関して疑問に思う所があり、吉川市の有機農家の名倉さんにその番組を見てもらい意見を聞かせてほしいとお願いしました。高野誠鮮さんは奇跡のリンゴで有名になった木村秋則さんの「自然栽培」を強力に推進しているお一人です。高野氏が石川県羽咋市の職員をされていた時に、自然栽培で育てたお米をローマ法王に献上して話題となり、限界集落に陥った農村を再生させた話がテレビドラマにもなっています。以下の文章は、私からのお願いに対して、名倉さんご自身の宅配の「やさいかん通信」に書かれた、その動画の感想を一部抜粋しながら掲載させていただきます。
「結論から申し上げますと、おおむね正しいと思うが、とてもとても誤解を招く言動だと思いました。この方も自分で自分の事を直球で話していると言っていましたが、そぎ落とし過ぎではない?と。おそらく講演会で聞いている方々は一般の方々で専門家ではないでしょうから、少々、危険だぁ~と思いましたネ。一番私が目を止めたのは、この方曰く『完熟した有機肥料を使うのは良いが、生の有機肥料はダメ!』と…。私からするとめちゃくちゃ説明不足!また、JAS有機野菜を食べると2年でガンになる…。とのこと。そこまで言うか
これに関しての私の見解を申し上げますと、まず、『完熟した有機肥料云々』このワード、間違っています。この場合、正しくは「完熟した堆肥と発酵した窒素肥料」なら良いが、糞など生はダメ!あれ!これは私が昔から言っている事ですネ。木村秋則さんが中心で提唱されている自然栽培は、農薬も除草剤も化学肥料も加えて有機肥料も使わずに米や果樹、野菜を育てる農法ですネ。ただ、有機肥料を使わないが完熟堆肥は使うとのこと。私と違うのは有機肥料を使うか使わないか…ですね。私は皆さんもご存じの通り、自家製ボカシ(もみがら・米ぬか・菜種油カス)という発酵窒素肥料と、野菜によっては発酵鶏糞です。ただし発酵鶏糞は必ずEMボカシをまぶして善玉菌が支配する環境を作るようにしています。次にJAS有機野菜は全部発がん野菜などと過激なことを言っていますが、この方が言うには、アナウンサーでガンで亡くなった逸見政孝さんの奥さんがJAS有機野菜を食べ続けてガンになった…と言っていますが、それが理由かどうかの分析をその場で合わせて話していないことは、これ、ここまで来ると逆に少々罪深いと私なんかは思ってしまいますョ。この方、農業経験がなく、公務員だったらしいので、こんな言い方になってしまうのかな?」
名倉さんが「おおむね正しい」と言っているのは、糞尿などを生のまま堆肥を使うと「硝酸態窒素」という毒性が強い物質が発生し、身体に毒だという事です。ただ、それとJAS有機野菜をまるで直線で結びつける行為は余りにも無謀であり、事実を捻じ曲げています。木村秋則さんは「地球に生まれたあなたが今すぐしなくてはならにこと」(KKロングセラーズ)という本の中で、「肥料・農薬・除草剤は悪いと言っているのではありません。農家の人たちはそれによって重労働から解放されたのですから。それでもなお、もうちょっと減らす方向へと考えてほしいのです」と訴えています。自分の正しさを正当化する事よりも、お互いの立場を尊重する中にこそ未来は存在します。