長年げんきの市場で健康講座の講義をしていただいた佐藤成志先生が今年の1月3日、87歳の生涯を終えられました。昨年の6月まで地元の地域センターで健康セミナーを続けられていましたが、老齢を理由に自らの決心で終了をされると、12月に体調を崩され、1月3日の朝、奥様に付き添われながらの食事の最中にいつのまにか眠るように天国に旅立たれたそうです。駆け付けられた医師の診断では肺炎などの病気は一切見当たらず「老衰」という事でした。ここに慎んで佐藤成志先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
薬師如来の如く「食事療法」を伝え、多くの人の命を救ってこられた佐藤成志先生が、この道で生きるきっかけとなった医学博士の森下敬一先生との出会いについて、生前にお伺いしとことがあります。偉大なる魂へのご供養の思いを込めて、今週はそのエピソードをお伝えいたします。
佐藤成志先生は東北薬科大学卒業後、製薬会社に入りましたが、従来の化学薬剤にはなじめずに、独自に薬草と漢方を学びながら、ついには漢方部門を立ち上げ、取締役として忙しいサラリーマン生活を送られていました。そんな時に「食事で病気を治す病院がお茶の水に出来た」という噂を耳にしました。そして、開業してまもない森下敬一博士のお茶の水クリニックへ行き、「食事で病気を治せるとは到底私には信じられません。本当かどうか確かめさせてください」とお願いしたそうです。すると、森下先生はそれを面白く思い「それなら一週間、診察室で私の横に座って確かめたらいい」と快諾してくれたそうです。そして翌日から一週間、開院から閉院まで森下先生の横に丸椅子をおいて診察に同席しました。すると次から次へと診察に来る患者さんが「お陰様で良くなりました」、「治りました」と森下先生に感謝の言葉を述べられたそうです。「俺をだますつもりでサクラを送り込んでいるのか?」と、最初は疑っていた佐藤先生も森下クリニックでの一週間を終えた時に、製薬会社へ戻り「辞表」を提出して、その足で森下先生に「一緒に働かせてください」とお願いしたそうです。
余談になりますが、その時、森下先生が「今いくらもらっているんだ?」と聞かれたので佐藤先生が給与額を話すと、「その1/2しか出せないなあ」と言われたそうです。それを承諾して佐藤先生が家に帰りそのことを奥様に話すと、「やっとやりたいことが見つかって良かったわね」といって心から喜んでくれたそうです。そして、次の日、奥様は保険会社のパートを始められました。
それから森下先生のもとで佐藤先生は10年ほど働いた後、自然薬方研究所「薬方堂」を設立し独立されました。そして、福岡、広島、四国、神奈川など全国各地で定期講習会を行いながら、多くの西洋医学では見放された病気の方と真正面から向き合い「食事療法」をご指導されてこられました。「げんきの市場」では2006年から2020年の14年にわたり159回の「健康講座」を開催させていただきました。
新型コロナウイルスのパンデミックも2年が過ぎ、「自然免疫力」を上げる事の重要性が再認識されています。そして、それを実現するのが「食事の力」なのです。佐藤成志先生のご遺志を継ぎ、ご子息で薬方堂の現社長の佐藤秀彦先生により、コロナにより中断しておりました「佐藤先生の健康講座」を今春より再開致します。この時代に必要な知識であり、元気な毎日への必聴の講座です。