佐藤先生が長年伝え続けている「食心動環」の健康法ですが、その土台になるのが、「食」=「食事」です。農薬や添加物、超加工食品を避ける事は基本になりますが、それ以上に大切なのが人間の食性に合った食事を選ぶという事です。私たちは健康を「何を食べれば身体に良いか」で考えがちですが、本当の出発点は、「人間は本来、何を食べる生き物なのか」を知る事なのです。
【人間の歯が教えてくれること】
生き物には、それぞれ本来の食べ物があります。コアラはユーカリを、パンダは笹を食べます。それは歯の形が、その食べ物に合わせてつくられているからです。人間の歯も同じです。
約6割……穀物をすりつぶす臼歯
約3割……野菜をかみ切る門歯
約1割……肉や魚を裂く犬歯
つまり、人間は穀物と野菜を中心に、肉や魚を少量添える食性を持つ生き物なのです。
【食卓は、この70年で大きく変わりました】
戦後、日本人の食生活は劇的に変化しました。昭和30年代には、一人あたり年間約150kgだった米の消費量は、2024年度には53.4kgまで減少しています。一方で、肉類や油脂類の摂取量は大きく増え、食卓は穀物中心から欧米型へと移っていきました。生活習慣病やアレルギーの増加には様々な要因がありますが、食生活の変化も決して無関係ではありません。
【完璧な主食とは「玄米」】
食事療法で最も大切なのは、主食を整える事です。日本人にとって、その中心になるのが玄米です。「米」に「白」と書けば「粕」。「米」に「やすらか」と書けば「糠」。昔の人は、米の表皮や胚芽に命を育てる力が宿る事を知っていました。玄米は、蒔けば芽を出し、新しい命へとつながる食べ物です。その生命力を丸ごといただく事が、一物全体の食事につながります。
【主食6・副食4という知恵】
理想の食事は、主食を約6割、副食を約4割。昔の「一汁一菜」や「一汁二菜」に近い、日本人が長く続けてきた食卓です。おかずの種類が多い場合でも、この比率を守る事が大事です。佐藤先生が長寿地域を訪ねて共通して見たのも、豪華な料理ではなく、主食を大切にする暮らしでした。
【よく噛み、腹八分目で終える】
もう一つ忘れてはいけないのが、「噛むこと」と「食べ過ぎないこと」です。一口を50回、できれば100回噛む事です。唾液が消化を助け、玄米本来の甘みも引き出されます。そして、その甘みを感じるようになると食味が健康体に変わります。そして、どんなに良い食べ物でも食べ過ぎれば負担になります。健康は、特別な食品ではなく、腹八分目という節度の中で育まれていくのです。
