「農業を取り巻く世界」の現実の中で 私たちが出来ること 野菜情報VOL.610 令和4年5/29~6/4

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 毎年、アスパラを頂いているリリーファームさんから「グリーンアスパラですが、露地ものの収量が少なく大変な状態になっています。最短でストップさせていただきたいのですが、宜しくお願い致します」というファックスが5月25日の早朝に届きました。「大変な状態」という言葉が気になり、さっそく、リリーファームさんに電話をおかけいたしました。

「最初は天候のせいかとも思ったのですが、あんまり新芽が出てこないので土の中で芽を食べてしまう虫でもいるのかと思い、専門家の方にも調べてもらったのですが、虫がいたわけでもないようで、結局、まだ理由がわからないんです。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、何卒、お願いします」ということでした。リリーファームさんから15年以上アスパラを頂いており、「げんきの市場」のこの時期の人気野菜ですが、ここ数年、北海道は異常気象により大変な状況が続いており、リリーファームさんの悲痛な声をお聞きして、今更ながら農業を職業とすることのご苦労を実感いたしました。

 また、南米(ペルー・エクアドル・メキシコ)からJAS有機バナナを輸入している会社から「バナナ産地南米でのデモストライキからの暴動による道路封鎖及びその後のトラブルにより入船が大幅に遅れており、再開は未定です」という連絡が入りました。世界的な新型コロナウイルスパンデミックによる食糧需給の不安が起き、さらにロシアによるウクライナ軍事侵攻がそれを加速させ、今、地球規模で食糧インフレーションを巻き起こしています。

5月25日の産経新聞には「食糧不足 8億人に危機迫る」という見出しで、ロシアのウクライナ軍事侵攻の長期化により、世界的な穀物不足と食糧高騰が進んでおり、「栄養失調状態にある8億1100万人に危機が迫っている」(世界食糧計画「WFP」)ことを伝えています。記事の中では、ナイジェリアを訪問したグレテレス国連事務総長は「次の食事のあてがない複数の家族と面会した。家畜は餓死し始めていた」と報告されたことが書かれています。

 世界的な食糧不足や価格上昇が進む中で、日本の国内では農業従事者の高齢化と共に日本農業の衰退が加速されています。「工業立国を掲げた日本は自動車などの工業製品を外国に売り、食料は安い外国産のものを買えばいい」と私自身も学校で教わってきましたが、世界的な食糧不安の中で、今こそ私たちは生命の糧となる「食糧」と正面から向き合わなければならない時を迎えています。 

今回、山形県のお米や味噌の生産者の若林さんのご紹介で、山形県産の「はえぬき」の「米粉」の取り扱いをスタート致します。小麦粉と同じように色々な料理にご利用いただけます。農林水産省のホームページの「米粉レシピ」を見ることが出来ます。そこには和洋中186種類の料理が写真付きで分かりやすく紹介されていますので、是非ご確認ください。日本の国で100%自給できる主食である「お米」、それを余らすことなく私たちが有効に活用することは、日本の農業を守り、私たちの未来を守る事になります。ぜひ美味しい米粉生活を楽しみながら、私たちの食卓から未来を守りましょう。水面に頼りなげに並んだ早苗たちが成長をしてみどりの絨毯へと変わり、やがて黄金色に染まる景色こそ、この国の祝福の姿です。

 

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