4月18日、「げんきの市場」が無農薬煎茶や和紅茶を頂いている「和茶園」の植田修代表が訪ねて来てくださいました。「和茶園」は、現在、京都府和束町(わづかちょう)で5haのお茶畑で無農薬栽培煎茶やほうじ茶、和紅茶を生産されています。
「和束町は今から800年前の鎌倉時代にまでさかのぼる宇治茶の産地で、土壌も気候にも恵まれ『茶源郷』とも呼ばれるほどに美しい山肌を覆う茶畑の景色が今も広がっています。その中で『和茶園』の茶畑は山奥の急斜面にあります。香りのいいお茶の栽培には、この『山奥の急斜面』がとても重要なのです。昼夜の温度差があり、しかも朝晩に霧がたち日光遮断がされることにより一日の日射時間が短くなります。そうした現象が起きる自然の中でしか作り出せない絶妙な条件が、実に『香りがよく美味しいお茶』を作り出します。」
さらに、茶葉の品種や栽培方法にもその美味しさへのこだわりがあります。「『和茶園』では、800年前から鎌倉時代より継承されている『在来種』の育成をしています。『在来種』には特に際立った『自然のお茶の香り』があり、人の手で工夫をしても作りだせない独特のものがあります。栽培方法でお茶の味を工夫することはできますが、 お茶の『香り』を作り出すことはできません。また、茶樹がストレスなくできるだけ『自然のまま』で育つように、 例えば、煎茶栽培においては被覆栽培(日光を遮断するために、茶樹に布を被せること)をしない栽培をしています。」
植田代表は、元々は大阪の出身で、農業とは全く無縁でした。しかし、子供の頃から農的暮らしに憧れ、高校在学中に北海道にある牧場へインターンシップに参加し、社会人生活を送った後は本場ニュージーランドで約1年ワーキングホリデーをしました。そして、ニュージーランドへの移住を決意し、その資金を稼ぐために和束町のお茶農家の手伝いに入ったのですが、そこで植田代表の人生が変わりました。「和束町のお茶農家の人たちと出会い、皆さんが自分の農業に誇りを持ち、町の文化や歴史を大切に生きる姿にふれて、自分も和束町のお茶農家として生きようと決めました」。それから12年、茶葉の一番先端の「一芯一葉」にまで届くようにと日々の茶園管理を進めながら、循環システムの役割を担うために食糧残渣の完熟堆肥を取り入れ、また、新しくウーロン茶の製造に着手するなど若き農業人としての夢を茶畑に描き続けています。
最後に植田代表に夏場のお茶の楽しみ方をお伺いすると、水出し茶の作り方を教えていただきました。「水1Ⅼに茶葉を10~15g入れて4~6時間水出し(出来れば蒸留水や天然水)で飲んでください。茶葉は煎茶でも、ほうじ茶でも、和紅茶でも何でもOKです。水出しをすることで苦みが抑えられ甘みが引き立ちます。作ったらそれを一日で飲み干してください」との事でした。
「本当は危ない国産食品」(新潮新書)の著者でノンフェクション作家の奥野修二氏は、お茶には200種類以上の農薬が認可され、日本のペットボトルのお茶からはEUやカナダ、韓国、台湾では検疫で通らない程の数値の残留農薬が検出されている事実を告発しています。それならば今年の夏は定番の麦茶以外にも、ステンレスボトルに「和茶園」の水出しお茶の携帯はいかがでしょうか?