「私自身の中から…」野菜情報VOL.575令和3年9/12~9/18

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「リスクのある小麦の輸入を続ける日本の末路」というショッキングな記事が東洋経済オンラインで8月27日に配信されました。その記事には「ジャップが食べる分だからいいのだ」という米国の穀物農家のコメントとともに、発がん性に加えて腸内細菌を殺してしまうなどさまざまな疾患を誘発する懸念が指摘されているグリホサート(除草剤)を雑草ではなく、小麦に直接散布して小麦を枯らして収穫する事実が書かれていました。小麦を枯らして収穫することで機械での収穫作業がスームーズに行えるため急速に米国で広がっています。

この収穫技術による最大の問題は、米国からの輸入穀物に残留しているグリホサートを日本人が世界で一番たくさん摂取してしまうという現実です。そして、米国のグリホサートの収穫直前散布の実態に合わせるため、日本政府は2017年12月25日に日本人の小麦のグリホサートの摂取限界値を従来の6倍に緩める判断をしました。これは、私たちの生命の安全基準からではなく、米国の小麦産業の生産体系に必要な使用量から計算されています。

グリホサート(商品名ランドアップ)は2018年8月、米国カルフォルニアの裁判所が、ガンとの関連性を認めて発売元のバイエルン社に多額の賠償金の支払いが命じられました。その後も、米国でのがん患者による訴訟が相次ぎ、その原告の数は12万5000にも達しっています。このような状況の中で、2023年よりラウンドアップ(グリホサート)が米国の消費者市場より姿を消すことが決まりました。ただ、農業用の資材としてはこれまで通り、今後も使用され、そして日本へ輸出する農産物には使われ続けていきます。

化学物質は放射能と同様に不吉な物質で、

世界のあり様、そして生命を根源から変えてしまいます     レイチェル・カーソン               

レイチェル・カーソンは米国政府機関で生物学者として働いていた女性研究者でしたが、1962年に「がん宣告」を受け、自身の闘病生活の中で「沈黙の春」を書きあげました。当時、安全だとされていたDDTといった化学農薬の危険性を正面から取り上げたこの本は、人類史上始めて環境破壊を正面から取り上げ、わずか半年で50万部を超すベストセラーとなり、当時の大統領ケネディにも取り上げられました。しかし、化学薬品会社の猛烈な抗議を受け実際にDDTの製造禁止になるまでには10年の歳月が必要でした。

レイチェル・カーソンは「20世紀になって人間と言う1つの種が絶大な力を身に付け、自然を改造しようとしている。未来の子供たちが私たちを許さないであろう。すべての生命を支える自然界を守ろうとしなかったのだから。」と語っています。「生命」と「環境」は「いのち」という同心円でつながっています。今こそ未来の選択を、私たちは私たち自身の中から、私たちの日々の暮らしの中で「健康」という「喜び」の波紋として広げて参りましょう。

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