埼玉県児玉郡上里町MASUMIYA(ますみや)さんの無農薬無化学肥料栽培の「清麗いちご」を頂ける事になりました。生産者の橋本博正(はしもとひろまさ)さん、真澄(ますみ)さんご夫妻とは15年近く前からの知人で、当時はご夫妻で自然農(農薬や化学肥料不使用・不耕起)に取り組まれていました。昨年、久しぶりに電話を入れると5年前より無農薬無化学肥料栽培でいちご栽培をされていると言うことで、2月4日にその畑を見せて頂きました。
橋本さんのいちごは「清麗いちご」という名前の通り、瑞々(みずみず)しく清々(すがすが)しい、すっきりとした味わいの中に、コクと香りと風味の奥深さが詰まった絶品のいちごです。そして、ハウス内の水や空気にこだわり、微生物の活性を高めて、いちごたちを自然の森のような生態系を出来る限り再現した中で育てられています。そして、いちご栽培のチームリーダーである奥様の真澄さんは「単なる無農薬のいちごではなく、食べた人に生命を吹きこむようなエネルギーに満ちたいちごを目指しています。この『清麗いちご』の一粒一粒が皆様の至福の時間になる事を心から願っています」と、話されていました。
ご主人の博正さんは26歳の時に自然農をスタートし、さらに自然栽培などあらゆる無農薬農法を学びながら、20年以上、自然と調和した理想の農業を求道者のように奥様と二人で追い求めてきました。しかし、その理想が高ければ高い程、やり続ける事の苦労も困難も多く立ちはだかるのが現実でした。当時を振り返り、「実際、大変な思いをして、苦労をしても、くたびれもうけで、農業経営としては厳しいものがありました。そんな中で、ずっと慣行栽培をしていた父親から自分が主体となり家を引き継ぐ事になり、それで自分たちなりに新しい基盤となる農業を始めようと、借金をしてハウスを建て、無農薬無化学肥料のいちご栽培に取り組む事にしたんです。」
いちごは慣行栽培で30回以上農薬散布する「農薬で作る作物」で、いちご栽培を始めた1年目は病気と害虫のオンパレードとなりました。そして、どうにもならない状況の中、試行錯誤を繰り返し、その中で共生農業のACT栄養循環活性化技術(Active Nutrient Cycling Technology)に出会いました。山形県の園芸家・宇井清太(ういせいた)さんが不可能と言われていたランの無農薬栽培を成功させた技術を体系化したものです。それは農地における栄養循環の欠如を補完・強化して土壌の微生物環境を改善する、森林や草原生態圏をモデルとして農地を再生する技術です。橋本さんは今までの無農薬栽培の蓄積もあり、共生農業の資材を使う事により2年目よりいちごの無農薬無化学肥料栽培を軌道に乗せていきます。博正さんは「資材を使うのに昔は抵抗がありましたが、今はそれを使う事により無農薬栽培が安定して出来る事に意味があると思うようになりました。」と話されています。橋本さんご夫妻は自然農から共生農業へと長年私たちの食の安全を守り続けながら、土の世界から広がる「いのちの世界」をも守り続けている生産者です。