かつて不定期で「げんき通信」という誌面を発行していました。その時、執筆者の一人として名倉さんに「面白過ぎる有機栽培」の題名で書いて頂いていました。今週はそちらからの再掲載です。
皆様こんにちは!いやはや大変ごぶさたしておりました。今回は当タイトルでもあります「おもしろすぎる有機栽培」の、この「おもしろい」という件に触れてみたいと思います。
一般に農業は3Kといわれ、きつい・きたない・金がない?でしたでしょうか・・・?確かに当たらずも遠からずの部分もないことはない、とも思うのですが、しかし汚いはともかくも何の仕事でも大変といえば、大変ですよね!どうせ大変なら、農業、とりわけ「有機農業」というふうに考えるわけなんです。この有機農業に関しては、いつも思う事ですが、ほんとうに飽きることが絶対にない、というところなんですよネ。芸術分野と同じでこれで完成ということがありません。「人間にとって本当にいい野菜とは・・・」ということをテーマとして心がけていますと、あるときは医者に、あるときは学者に、またあるときは肉体労働者に、と必要に応じて七変化する様がとてもエキサイティングなんです。ましてや今日という日は地球創生以来二度とやって来ることはありません。当然、今日という気象条件も二度とまったく同じという日はないわけです。そんな中で今年はこの方法ですばらしい出来栄えだったからといって、来年同じ方法が通用するとは限らないところにこれはこれで、またおもしろさがあるわけです。
また有機農業の場合は、化学肥料や農薬を使用しない分、作物はその生態をむき出しにさらけ出します。例えばアブラムシが発生した場合、通常は農薬を散布しておしまいでしょう。まるで何事もなかったかのように出荷されるのではないでしょうか?これが、私の場合ですと出荷停止となります。なぜ出荷停止となるのかは、なぜアブラムシが発生するかのメカニズムがわかりますと、そのようにせざるを得ないのです。アブラムシの発生の原因のひとつに未分解ガスの葉からの気散があるからなんです。アブラムシは未分解ガスに誘われ飛来するわけなんです。その未分解ガスの正体は通常、亜硝酸ガスといわれ、昔ベトナム戦争でアメリカ軍が使用した枯葉剤の主な原料と同じものなんです。もちろん発ガン物質です。どうでしょう?これを知ってしまったら、とても出荷できませんよね。外見上はなんでもなくても、中身はひどいことになっているわけです。だからこれに関しては決してアブラムシが悪いのではなく、野菜そのものの体質に問題があったわけなんです。
今回は一例をご紹介させていただきましたが、有機農業の場合は特に何か問題点が発生した場合、その原因を探る以外に解決策はありません。原因を究明し、次にその検証になるわけです。逆にその原因を究明し検証するところにも、有機農業のおもしろさの醍醐味があるわけなんですね。
だからやめられないんですよねー。今までわからなかったことが理解でき、点と点だったことが線で結ばれ、さらに線と線が少しずつカタチになってきますと、そりゃもう・・・たまりません!でもわかってくればくるほど、わからないことも多くなるんですけどネ!
まあ、今回だけではとても申し上げ尽くせないのですが、機会があれば次回に是非、お会いしたいと存じます。お後がよろしいようで・・・。ありがとうございました。