これまで「パンデミック」はSF映画のものだと思っていたのですが、世界を新型コロナウイルスが覆い「パンデミック」という言葉が私たちの時代の現実になりました。そして今、イスラエルとアメリカがイランと戦争状態となり「ホルムズ海峡封鎖」が現実になり、この時代に新たなパンドラの箱が開かれました。そして私たちの暮らしは新たに大きなリスクに飲み込まれていこうとしています。エネルギーの外国依存が高い日本ではガソリンの価格がクローズアップされていますが、それは物流、エネルギー、各種素材など生活全般の価格上昇を招きます。そして、それは2次的には食料危機へとつながる公算が極めて高いのです。
現代農業は燃料を使う事により成り立っているのです。機械を動かす燃料費やハウスを温める重油、そして農業資材のコストが上がる事により生産コストが跳ね上がり、農業経営が一層厳しくなっていきます。そして、それにも増して最も大きな問題は世界的な化学肥料不足に陥る可能性が高いという事です。世界中で栽培されている作物の多くは多収量品種になっており、そうした作物の栽培には化学肥料の施肥が欠かせません。その化学肥料は天然ガスからつくられ、世界の供給量の50%が中東で生産されています。海峡封鎖が長引き、化学肥料が世界中に届かなくなると急激な肥料価格高騰を招きます。それによって世界中の農業が化学肥料の量を減らして生産する事になると、異常気象とかの外的な要因によらずに、今度は世界的な食料不足になる可能性が高いのです。ウクライナ侵攻の時には小麦の値段が急上昇しました。その時のように日本はお金があるから大丈夫とは決して言えないのです。
新型コロナウイルスにより、ベトナム、ロシア、カザフスタン、インド、タイ、エジプト、セルビア、カンボジア等の国が一時穀物の輸出制限を発表しました。ホルムズ海峡の封鎖がこのまま続いて中東で生産されている化学肥料が動かなくなり、世界中の農家が化学肥料の使用量を減らし農産物を生産したとします。そると、その結果、※1リービッヒ最小律により、仮りに収量が世界全体で20%減ると過程すると、それだけで世界の数億人分の食べ物が足りなくなるという事も現実の問題として仮定出来るのです。そのような事態になって始めて食料を殆ど輸入に頼っている私たち日本人が食糧問題に気付くのでは遅すぎます。南海トラフ地震や台湾有事等が真剣に議論される時代です。私たちは日頃から災害やもしもの時の為に食料備蓄をしても悪くはありません。そして、私たちはどのような時でも、自身の生活を守りながら未来の為に出来る暮らしの在り方を、日々の生活の中で育てていきたいものです。
※1 19世紀のドイツの化学者リービッヒが提唱した、植物の成長速度や収量は与えられた栄養の中の一番少量の必須栄養素の量に影響を受けるというもの。
