いちご好きさんが
お腹いっぱいのいちごを食べる方法
愛は農園にある。
家の4歳の子どもは甘酸っぱいいちごに目がありません。
夏頃からまめに「いちごはいつ売ってる?」と聞くようになり、冬になって青果売り場でいちごを見つけると、カゴに入れようと懸命にアプローチしてきます。
1パックのいちごもぺろりと食べる子どものお腹を満たすにはたくさんのいちごが必要です。
定額で思う存分いちごを食べるための方法は2つ。
1つ目は家で育てること、2つ目はいちご狩りに行くこと。
いちごを育てるのに必要なのはいちごの苗と土、太陽と水。
園芸店に行けば可愛い白い花をつけたいちごの苗が売っています。
持って帰って家のプランターに植えて、日の当たる場所に置いて水をやれば次々花が咲きます。
ですが実はつきませんでした。
たぶん受粉できなかったのが原因です。
プランターの周りは家の壁に囲まれていたから、受粉してくれる虫がやって来なかったのでしょう。
それに気づいて指で花をこすって回ったら、ようやく小さな実をつけました。
植物の受粉の多くは虫が担っています。
蜂は世界の作物の3分の1を受粉しているとのこと。
世界中で蜜蜂がどんどん減っていますが、ネオニコチノイド系の農薬が原因と言われています。
農薬を使わないことは、蜜蜂を守り、植物の受粉をつなぎ、未来の世代が作物を収穫するためにも、とても重要です。
人と緑の循環をつくる下北沢のコミュニティ、シモキタ園藝部では、元線路だった土地を畑にし、コンポストや雨水タンクを使い、野菜やハーブを育てています。
蜜蜂も循環をつくる大切なメンバー。
都市住宅は農薬を使うことがないから、蜜蜂たちの安心な住み家なのだそう。
シモキタ園藝部の茶屋では、畑で育てたハーブティーや、下北沢のビルの屋上で採れた蜂蜜を使った飲み物を出しています。
いつか味わってみたいものです。
蜜蜂が成虫として生きる1か月で作る蜂蜜は小さじ1杯分。
人が一口でなめてしまう量だけど、蜜蜂が1日に飛び回る花は3000個。
人には気の遠くなるような仕事です。
蜜蜂が花から蜜を吸うとき、蜜を取り過ぎて花を傷つけることはありません。
だから花も喜んで蜜蜂に蜜を差し出します。
蜜蜂は色んな花を飛び回ることで花粉を運ぶ。
花と花の関係をつなぎ、実りをもたらす。
この蜜蜂の経済学は、インド出身の平和運動家サティシュ・クマールさんの大切な信念。
サティシュさんが幼い頃、お母さんから「大事なことは全て蜜蜂に学びなさい」という言葉とともに教わりました。
いちごをお腹いっぱい食べたいときはいちご農園にいちご狩りに行きます。
いちご農園は越谷にたくさんあり、1月から5月までやっているので「いちご(15)」と覚えています。
いちご農園のハウスの中には緑の葉からこぼれるような瑞々しいいちご、受粉を手伝う蜜蜂。
蜜集めに熱心な蜜蜂たちは人が近くにいても全然お構いなし。
蜜蜂の羽音に最初緊張する人もじきに気にならなくなる。
蜜蜂も人もいちごの美味しさに夢中のひととき。
「ここさんぽ 中川ゆか」さんの
エッセイ「愛は農園にある。」
が始まりました!
野菜情報VOL.739 令和7年2/2~2/9
今週より定期的(毎月1回の予定)に「ここさんぽ 中川ゆか」さんのエッセイ「愛は農園にある。」を掲載させて頂きます。中川さんは仕事を持ちながら4歳のお子様を育て、昨年より越谷駅で「地球と自分を抱きしめよう!映画上映会」を主宰されています。「ここさんぽ 中川ゆか」さんの「ここさんぽ」とは、埼玉県の越谷付近でこどもたちを真ん中にした休日お散歩会をゆるやかに企画されている地域コミュニティの名称です。この活動を始められたのは「ローカリゼーションを大切にしながら、7世代先の人たちにとってもゆたかな世界になりますように」という願いからです。子育てをする女性の立場から、今ある私たちの暮らしを慈しみ、それを大切にしていきたいという思いが溢れた方で、その願いで活動されています。
「愛は農園にある。」の連載回数は「はがき」になぞらえて第一葉、第二葉と「はがき」のように重ねられていきます。読んでいただく皆様と同じ目線で、季節の話題やサステナビリティ、リジェネラティブ農業、パーマカルチャー、ローカリゼーション、スローライフ、ローウェイスト、ロープラスティック等、中川さんがその都度に気になるテーマで書いて頂きます。お楽しみに!
最後に紙面のスペースの関係上載せられなかった、ご自身の自己紹介文を掲載いたします。
「ここさんぽ 中川ゆか
げんきの市場愛好者。宅配で毎週1週間分の食べ物を届けてもらって日々感謝です。今年1月に申し込んだ市民農園の抽選結果が気になる今日この頃」