10月12日、デトックスプロジェクトジャパン(DPJ)の設立5周年シンポジウム「― 水はいのち― 広がるナオニコ汚染」にオンラインで参加致しました。DPJは人体における残留農薬の検査を行い、その結果を公表する事を通じて、化学農薬の規制・禁止処置が進む世界の流れに逆行している日本の中で問題提起をし、周知や議論を深める事を目的として設立された団体です。DPJが2023年9月から1年間、138検体による尿中から検出されるネオニコチノイド系の農薬を検査したところ、実に93%、129名から検出されました。検査をした人たちの大半が食べ物の安全性にも気を付けている人たちが殆どです。そして、前年の2022年に1年間実施したオニコチノイドの水道水の中の混入検査の結果を踏まえて、私たちの身体が水道水のネオニコチノイド汚染により、私たちが知らぬ間に暴露している実態が広がっており、今回のシンポジウムが開かれました。
ネオニコチノイドの特徴は、①浸透性、②残効性、③神経毒性で、散布すると葉や茎や根から吸収され作物全体にいきわたり、その効果は長く継続し、昆虫の神経伝達を阻害することで殺虫効果を発揮します。1990年から有機リン系農薬に変わり使用が始まりました。それと同時期から、ヨーロッパで「ハチがいなくなった」と、その減少が社会問題となり、現在ではそれがその頃から使われだしたネオニコチノイド系農薬が原因だと考えられています。アインシュタインは「もし地球上からハチが消えたなら、人類は4年しか生きられない」という言葉を残しています。多くの植物の受粉の媒介をしているハチがいなくなると生態系が崩れ、それはやがて人類にまで及びます。
当日登壇された宮古島地下水研究会の代表の友利直樹医学博士からは、「ネオニコチノイドによる様々な健康影響が出ており、子供たちの発達障害は10年間で44倍にも増えている」との報告がありました。宮古島では唯一の水源である地下水が、毎年大幅な役場補助により使用されるネオニコチノイド系農薬で汚染され、それが浄水処理場で除去できない為です。また、秋田県の「子どもたちサ、安全な水ドコ届ける会」代表の今野茂樹氏から「秋田市で、EUの水道水からの検出基準値である100ng/Lの30倍を超える3060 ng/Lが検出されたが、現在、日本の基準値が600000 ng/Lの為、秋田市の行政からは『200分の1程度で、長期間飲み続けても健康上問題はない』という回答がきた」との報告がありました。2018年にEUでは屋外で使用するネオニコチノイド系農薬が禁止され、その後も規制が進んでおり、米国でも規制に向けた議論が進む中で、逆に日本では規制緩和が進められています。それが、このような水道水の基準値の大きな違いに出ています。
またシンポジウムでは「公益財団法人日本釣振興会」が制作した「沈黙の水辺」というYouTubeの啓発動画が紹介されました。この動画では昔は沸くようにたくさん獲れていたウグイやオイカワといった魚が現在では釣れなくなった。そして、それは全国的に広がり、その原因を調べていくとネオニコチノイド系農薬が自然の生態系を破壊し、それが水辺の生態系の破壊にまで広がっていたというものです。世界的な社会情勢を見てもネオニコチノイド系農薬が健康や生態系に影響を与える事は明白であり、世界中で規制が進んでいます。それでも私たちの国は私たち自身や子供の健康を脅かしながら、ハチや小鳥や魚などの命がこの国土から消えていく未来を選ぶのでしょうか?