小関さんが考えるアグロエコロジー型有機農業と工業型有機農業 野菜情報VOL.698令和6年3/17~3/23

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今年の正月に長年にわたりお米を頂いている山形県の生産者の小関恭弘(こせきやすひろ)さんから、有機農業に対する熱い思いが溢れた年賀状が届きました。現在、「げんきの市場」では小関さんからはJAS有機栽培の「こしひかり」、「ササニシキ」、「つや姫」の3種類を頂いており、いずれも人気の生産者です。そこで、先日、東京に出てきた小関さんにお会いして年賀状に書かれた思いをお伺いました。今週は、小関さんから届いた年賀状とその思いを掲載いさせて頂きます。

昨年中はお世話になり、心よりお礼申し上げます。

就農から三十年、世直しの手段としての有機農業でしたが、どう繋いでいくか試行錯誤の日々です。

「みどりの食糧システム戦略」の策定から2年経過、有機JAS認証制度同様に、本来の有機農業が歪められないように懐に飛び込んで取り組んできました。

最近はGMやゲノム編集から進化したフードッテクで土から離れた培養肉が環境政策と、本末転倒した動きが見られます。

有機農業は闘う50年からいのちの50年への転換期、若い人たちのやり方を見守りつつ、仕上げにかかろうと思います。 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。            

               2024年 元日

 
 「新型コロナも落ち着いて、昨年から有機農業農家の勉強会があちこちで再開となりました。4年ぶりに出かけ、アグロエコロジーの推進など有機農業の持つ可能性について話し合う中で、自分ももうひと頑張りしなければという思いがこみあげ、それであんな文章になったんです。アグロエコロジーを直訳すれば『農業生態学』という言葉になりますが、資源の循環や生物の多様性など人への健康と共に自然との調和を目的とした農業です。それこそ有機農業の原点とも呼べる本来の姿で、私たちが目指している農業の形です。今、深刻化する食糧問題の解決策として、フードテックと呼ばれる『耕さない農業』が世界中で進められています。遺伝子組み換え作物を原料にした培養肉や食用コオロギといった未来食が一見素晴らしい未来の話にも聞こえますが、それらはかつてのエネルギー問題を化石燃料から原子力に変えて推進している構図に似ています。

 そうした中で、日本は『みどりの食糧システム戦略』が令和3年に制定され、現在、面積割合が0.5%しかない日本の有機農業を、2050年までに25%に引き上げる事を掲げています。それは有機農業先進国のEUに追随したものですが、政府がそれを掲げた事に意味はあります。ただその中で叫ばれている有機農業が自動化やAIをつかった大規模農業で、それを実現するために『ゲノム編集作物(遺伝子編集)』を『RNA農薬(内在遺伝子阻害)』で防除した作物が有機作物として販売される可能性が見えて来ました。それらは私たちが目指していた『アグロエコロジー型有機農業』ではなく、経済至上主義の『工業型有機農業』なんです。有機農業の最初の50年は慣行農業との戦いでしたが、これからは命の論理を無視した『工業型有機農業』との戦いです。有機農業を目指す若者が経済至上主義ではなく、命の論理を目指すように、農業に関わりながら見守って行ければと思っています。」小関さんの純粋な思いに触れ、お米を頂くご縁を心より感謝致しました。

 

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