新型コロナ以降、げんきの市場に小さなお子さんを連れて買い物来る奥様やご家族が増えました。お子様の健康を守るために、インターネットなどを通して「食事」と「健康」という事に気づかれた方が多いようです。お子様が小さいうちは、「食」は親の管理下なので何も問題はないのですが、お子様が大きくになるに従い、どんなに親が制限をしても、ジャンクフードを欲しがる時期が来ます。日本の巨大企業やマスコミがそのように仕向けていますので、ある意味、それがどうにもならない現実です。しかし、それでも、その中でどのようにしたら、子供たちが自らの意思で良いものを選んで食べ行く未来を育てる事が出来るのでしょうか?
このジャンクフードに対して「食生活のドラッグ化だ」として、強い警告を発しているのがフード&ヘルス研究所の幕内秀夫氏です。幕内氏はファストフード共に、スナック菓子、スイーツ、清涼飲料水、菓子パン、インスタントラーメンを覚せい剤のようなハードタイプとは別のマイルドタイプのドラッグだと定義とされています。もともと私たちが口にする食べ物は自然に育まれる「農産物」だったのが、工場のラインで生産される「工業製品」に変わりました。そして、本来はシンプルな原材料で作れる食べ物の原材料表示に10も20もの添加物などの表示が並ぶように変わりました。そうした添加物、行き過ぎた白砂糖などの精製糖質、ショートニング等の脂質の過剰摂取等により、マイルドタイプのドラッグ類が子供たちの依存度を深めていると指摘されています。
1980年代、世界中をファストフードの席巻していく中で、地域の食文化や伝統食材を守るスローフード運動がイタリアやフランスで始まりました。そして、それと共にこれからの食を担う子供たちの味覚を守る「味覚教育」が始まりました。そのもとになったのが1974年に味覚の授業を最初に考案した「フランス味覚研究所」所長のジャック・ピュイゼ氏の「ピュイゼ理論」です。味覚には甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の五味があります。この中で甘味は早く発達しますが、塩味は3歳までに発達するため、「3歳までに舌がきまる」と言われています。そして、10歳頃になると思春期への変化の訪れとともに五感も変わり味覚も第二次成長期になります。その時期に「食」を五感で感じ、自覚し、表現する体験を通して味覚を目覚めさせる事を目的としています。
げんきの市場で健康講座をお願いしている佐藤秀彦先生は物心ついた頃から、ご家庭の食事は玄米雑穀の主食で野菜が副食の穀菜食でした。「子供の頃は自分の弁当を見て『鳥の餌だ』と馬鹿にされた事もあったけど、家が貧乏(佐藤成志先生が森下敬一先生と働きだして給料が2分の1に減ったそうです)だったから、食べられるだけで有難かったし、それが美味しかった…。高校生の頃、友達が食べるお菓子に衝撃は受けたけど、不自然な味で食べ続けたいとは思わなかったですね。今、大学生の娘も玄米のおにぎりと野菜のおかずの弁当を持って学校に行っていますよ。」健康を育てる食事を、佐藤先生は伝統調味料と本物の素材で作る穀菜食の美味しさで受け継がれています。料理研究家の辰巳芳子先生も「美味しさは、人間にとっていのちを守りやすい、上手に守っていくという事の一つの基準である」と述べられています。化学調味料では本物の味には勝てませんね。