科学技術の進歩が「食の安全」を後退させていく理由 野菜情報VOL.674 令和5年9/24~9/30

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 「日本の『食の安全』って、ますますひどくなっていませんか?」。越谷市で有機栽培の学校給食の推進活動をされている若い奥様が、小さなお子様を連れて買い物に来て、私にそう話しかけて来られました。「そうねんですよね~」私もそれ以上はお答え出来ませんでしたが、私も自然食の仕事をして30年以上になりますが、どんどん悪くなっている実感があります。大谷翔平を始め日本の野球もサッカーもラクビーもバスケも、ホント、日本スポーツの若い人たちは素晴らしい進歩しているのだけれど、それに引き換えに日本の「食の安全」は恐ろしいほどに後退しています。

 その誕生以来、世界的に問題になり続けている遺伝子組み換え作物(大豆・とうもろこし・菜種など)を中国と共に日本は率先して輸入し、その総量は年間で1000万トン以上にもなります。この数字だけだとその量の多さにピンときませんが、日本人の年間で食べるお米の消費量が約800万トンと比べると、この量がいかに多いかがわかります。そして、世界的にこの遺伝子組み換え作物の安全性への問題が様々な形で表面化し、また技術面からもその推進が難しくなると、それに変わって登場しだしたのが「ゲノム編集」という遺伝子操作技術です。それを今、率先して進めているのが日本であり、さらには日本人の主食であるお米を「放射能の育種」という新たな遺伝子操作技術で、日本国のお米全てを変えて種子管理する事を進めようとしています。

 科学技術の進歩にも見えるが、実はより深刻な事態が生むといった事例は、殺虫剤の歴史が分かり易く示しています。殺虫剤自体は古代ギリシャの時代から使われていましたが、それらは全て天然物や無機物でした。それが第二次世界大戦後、化学合成の農薬に入れ替わりました。戦争直後は毒ガス兵器の研究から発明されたパラチオンなどの非常に毒性の強いもので、それからDDTといった有機塩素系へかわりましたが、1962年レイチェルカーソンの「沈黙の春」によりその危険性が指摘されると、マラソンなどの有機リン系農薬、さらに除虫菊の有効成分から開発された合成ピレスロイド系の農薬、そしてニコチノイド系へと、一見は安全性が高いものへと移行していきました。

 ニコチノイド系は戦前から天然殺虫剤として使われていたタバコ葉に含まれている成分を化学合成してつくられます。水溶性で植物体への浸透移行性があり残効も高いため殺虫回数が削減でき、安全性が高いとされ、1990年代から世界で主流の殺虫剤として使われだしました。しかし、現実にはそれは全くの誤解でした。浸透性が強いという事は洗っても落すことができず、残効も高いため1年以上残留し、更には熱安定性も高い為に加熱調理しても分解する可能性もありません。この害虫の神経を麻痺させて殺す神経毒は、確実に私たち人間の身体へと入り、胎児の脳機能障害、発育障害、狭心症、免疫機能障害、うつ病など様々な影響を与えていると指摘をされています。パラチオンからネオニコチノイドの移行は一見、科学が進歩し、生命への影響が弱いものへと変わっているように見えますが現実は違います。より広く、そしてより深く私たちを含めた地球生命圏を脅かしているのです。自然界にないものは「不自然」であり、私たちはその「不自然」なものにどんなに技術を積み重ねても「益々私たち人類の首を絞めていくだけ」だともう気づくべきですよね。

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