第2回生産者との懇親会のご報告 野菜情報VOL.653令和5年4/23~4/29

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4月18日、第2回生産者との懇親会を開催致しました。今週はその報告をさせて頂きます。懇親会の内容は第1回の懇親会でお配りしたアンケートの結果から、①農業を取り巻く厳しい現況②なぜ無農薬有機野菜をつくっているのか?③減農薬栽培の詳しい内容の3項目で話が進みました。

最初の厳しい現況については耕作放棄地が増え、農家の主力が70代80代であるという現実や、農業を維持するための用水など地域の施設管理、鎮守の氏子当番、消防団、農業委員会など、農業以外の多くの役割を農業と一緒に受けつぐ事が、農家を継ぐということで、そうした役割の負担がどんどん増えている多忙な生産現場の状況を生の声でお伺いしました。また、肥料や資材などの経費がどんどん値上がりする中で、米や酪農など農産物の買取り価格は下がる一方で、「このままではまるで奴隷労働と変わらない」という厳しい状況への思いの言葉もありました。

次に「なぜ無農薬有機野菜をつくっているのか?」については、それぞれの生産者から力強いそれぞれの思いをお聞きしました。名倉さんは「毎年うまくいかないから無農薬農業を続けている」と振り返られていました。名倉さんは若い頃、働きだすとその仕事をこなしていくコツのようなものが分かるようになると面白くなくなってしまい、転職を繰り返していたそうです。それが農業に関しては問題が発生して、文献をあさり努力を重ねて、それを乗り越えてもまた新たに新しい問題が必ず発生するという、その連続であり、今度こそはと続けているうちに今まで続けてしまったとの事でした。そして、このようなご苦労の中でも、出席された生産者の方々が皆さん一様に「農業は面白い」と話されているのがとても印象的でした。

 減農薬栽培につきましては埼玉県で作物別の慣行栽培と特別栽培の農薬の使用数を示している一覧表を資料に進めました。慣行栽培とは一般市場に並ぶ栽培方法で、特別栽培はその半分の農薬で栽培されている比較的な安全栽培という事です。例えばキャベツの場合は、慣行栽培で13回、特別栽培で6回、露地の茄子は慣行栽培で49回、特別栽培で26回です。同じ作物でも栽培時期や栽培方法等により決められた回数は違っていますが、どの作物のどの栽培方法も、慣行栽培、特別栽培共にその回数の多さに出席された消費者の方は驚かれました。出荷用と自家用の野菜を区別して栽培する農家の話がありますが、この一覧を見て納得をして戴きました。また、JAS有機栽培で使用が許可されている農薬一覧も参考資料としてお渡しし、JAS有機認証や特別栽培といった認証制度の問題点を、現場の立場からの率直な意見を生産者からお聞きしました。

当日は、出席された消費者の方からも「戦中戦後の食べもののない時代に、1カラットのダイヤとお米を交換した」思い出や、それぞれの「食」や「農」にまつわるお話を聞きする事が出来てとても貴重な時間でした。そして、それぞれの生産者の方々の春野菜の試食をし、充実した2時間となりました。出席された皆様にお配りしたアンケートには「生産者の方々が楽しいと言っておられたことにびっくりしました。また、感動もしました。野菜の美味しさが分かりました。」などなど、たくさんの「参加して本当に良かった」という声を消費者の方からいただく事ができました。

今、日本の農業は風前の灯なのです。農業を取り巻く環境はかつて経験した事がない程の逆境の中にあります。それでもなお、私たちの暮らしの中には、私たちの「食の安全」を守り続けている生産者がいます。今だったらまだ間に合います。次回開催の折は皆様のご参加を心よりお待ちいたします。

 

 

 

 

 

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