『愛農救国』という農民運動が届ける 「食の安全」  野菜情報VOL.613 令和4年6/20~6/26

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 「愛農」(あいのう)の調味料や農産品、加工食品の取り扱いをスタートいたします。「愛農」は生産者がつくった組織で、生産者と消費者、それを結ぶ流通が顔と顔の見える関係を大切にしながら、長年、「農」と「食」をつなげて来られてきました。「愛農」の始まりは古く1945年の第二次世界大戦の敗戦直後にさかのぼります。混乱と飢餓の中、農学校の教師であった小谷純一氏が職を辞して百姓となり、平和の礎である農業を農民自らが主体となって担い守っていく事を目指したのが始まりでした。

 小谷氏は「愛農救国」という志(こころざし)を掲げ、それは「土を愛し、作物を愛し、家畜を愛し、農を愛し、家庭を愛し、農村を愛し、それによって農業を興し、農村を栄えさせ、この道をとおして日本再建に寄与しよう」というものでした。この農村の再生運動を繰り広げながら、その後に日本で始まった有機農業の勃興とともに「愛農」もそれに参加して、「安全な農産物」=「愛農」へと変わりました。

 そして、有吉佐和子の「複合汚染」や水俣水銀中毒事件、カネミ油症事件、イタイイタイ病等食品関連の事件が相次ぎ、食の安全への関心が消費者に強まる中で、「農業の使命は『国民の生命と健康を守る正しい食物』を生産することである」としてその生産を続けながら、その安全な食べものを求める都市の消費者と直接流通をつなげる「流通」こそ「愛農運動の活路」であるとして、全国の各地に「愛農」の流通部門が誕生しました。

 私(山下)が「げんきの市場」を始める前に10年間所属していた「株式会社愛農ベジタブル」(会の名称:あいのう野菜の会)は埼玉県春日部市にあった「愛農流通部門」の1つでした。そして現在、「げんきの市場」がいただいている玉子の「林養鶏場」、ミカンや梅の「松本農園」、リンゴの「小林農園」、お米の「林栄一郎さん」、野菜農家のレジェンド「宮田常雄さん」、「村吾空」の主要メンバーは愛農時代の仲間の生産者の方たちです。

 私はお客様に「高く販売するために付加価値をつけた『安全』と、おのれの生き様としての『安全』とは違います」とお伝えすることがあります。前者はその仕事の内容を刻んでいくと粗さが見えてきますが、後者はその仕事の内容を刻めば刻むほどこだわりが見えてきます。「国民の生命と健康を守る正しい食物」を生産することを、おのれの農業の目標に努力されてきた愛農生産者の農産物はまさしく後者なのです。

新たにスタートする「愛農」の加工品も同じように「国民の健康を守る」から生まれました。生産者が母体のグループの加工品ならではの原料から素性がわかり、安心できる貴重な品々です。そして、無添加といった安全性はもとより、製造方法にもこだわりを持っています。今回ご案内する10品目の他にも、今後は、順次、取扱数を増やしていく予定です。

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