子供達を踏み台に進むゲノム編集と多様性という自然の理               野菜情報VOL.583令和3年11/7~11/13

 

 今、日本では官民一体となって「ゲノム編集」による食品の流通が進められています。そしてその販路拡大のためにターゲットに選ばれているのが「子供たち」です。販売会社のパイオニアエコサイエンス株式会社は、昨年の12月に家庭菜園用に一般市民への無償提供を発表いましたが、来年からは障害児の介護福祉施設へ、そして2023年からは小学校にも無償提供をいたします。

 実際、「ゲノム編集」を推進しているアメリカやイギリスでも国民の反対は根強いのが現状です。そのような状況の中で、障がい児介護福祉施設や小学校に無償提供すれば、当然、子どもたちは熱中して育てることになり、やがてそれを収穫して食べる事になります。そうして、その子供たちの親も巻き込み、やがて市場流通も容易になる事をねらったマーケット戦略なのです。

 イギリスのジョンソン首相が「ゲノム編集」技術を使い病原菌に強いじゃがいもの開発を掲げているさなか、ペルーの農民が遺伝子操作ではなく、従来の品種改良の方法で病原菌に強いじゃがいもの品種をつくりました。じゃがいもは種子から育てる作物と異なり、種芋から増やすため遺伝的にまったく同じものが大量に作られ、ひとたび病原菌にやられると全滅という危険に曝さらされる作物です。19世紀、主食がじゃがいものアイルランドではじゃがいもが病原菌にやられて、飢餓と移民流出(国外脱出)によって人口の半数を失うという大飢饉を経験しています。

 今回のじゃがいもの品種改良の成功の鍵となったのは、現在の改良品種には失われてしまった遺伝形質がペルーの野生種に残っており、その野生種の遺伝形質を活用できたから病原菌に強い品種を作り出すことができました。ペルーの先住民族が多様なじゃがいもの品種を守り続けていたのです。そして19世紀のアイルランドの大飢饉の時も、それをすくったのはアンデスの先住民族が守り続けたじゃがいもの品種でした。

 他の生物の遺伝子を組み入れる行為(遺伝子組み換え)も、遺伝子レベルで欠損をおこす行為(ゲノム編集)も人為的で不自然な作為です。「不自然」なものはやがて自然界の中では歪みを生みながら淘汰されていく事を、私たちはもうそろそろ学ぶべきなのではないでしょうか?それよりも自然界が作る多様性を守り、その自然界の理を守りながら地球と共に私たち人類の未来を育てていく事の方が大切です。先住民族により守り続けられていた2つの種芋の救いはそれを表しています。

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