「食糧システムがつくる未来」野菜情報VOL.561令和3年6/6~6/12

日本の農業はどうなっていくのでしょうか?

その指針となる「みどりの食糧システム」が農林水産省により5月12日に策定されました。日本の農林水産業全体の生産力を、持続可能性と矛盾することなく高めていくことを目標として、2030年、2040年の10年ごとの達成目標と、さらに「2050年までに目指す姿」を最終的に示した長期的戦略となっています。その30年後の目標の一部が下記の内容です。

●有機農業を全体の農地の25%(100万ヘクタール)に拡大する

●化学農薬の使用量(リスク換算)を50%減らす

●輸入原料や化石燃料を原料とした、化学肥料の使用量を30%減らす

日本の有機栽培は農地全体の0.5%であり、それを30年後に50倍に増やすことは意義があります。ただ、すでに世界の有機農業の栽培面積はこの20年で7倍に増えており、また、世界的なSDGsの潮流から見ると、日本の30年後の目標は低すぎます。そして、さらに問題なのはそれを推し進めるために期待される取り組み内容のです。

この戦略のなかで農水省は、生産から消費までの各段階で「新たな技術体系の確立とさらなるイノベーションの創造により、我が国の食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する」と2度もイノベーションという言葉を使っています。そして、それらはスマート農業と呼ばれるAIなどを駆使したハイテク化、ゲノム編集による作物の開発、そしてRNA 農薬という遺伝子操作を応用した農薬の推進で実現を目指します。この戦略ではゲノム編集技術は通常の品種改良と同等であり、RNA 農薬は生体由来で化学農薬とは異なるという理由で有機農業に使えるという考え方です。

日本の有機農業の先駆けである「日本有機農業研究会」は「私たちがこの50年以上にわたり地域に根差した有機農業を生産者と消費者の相互理解・協力によって進め蓄積してきた実績や知見から見ると、取組みの具体的内容やイノベーションの方向性には、有機農業の理念・原則、歴史や国際的動向と相いれないものが多々みられる」と指摘しています。

アファーム乳剤という殺虫剤は同じ尺度でネギでは収穫前7日で使用禁止になっているのにキャベツは収穫前日まで使用することができます。それは食べる人の健康を守るための基準ではなく、産業保護の観点からに思えてなりません。そして今、日本の農業の未来を託し新たに掲げられる「みどりの食糧戦略」は、自然を守り生命を育むはずの有機農業が、同じく産業保護を目的として「食糧システム」の寡占を目指す巨大企業たちに奪われ、地球とのボタンを掛け違えたままに推し進められているように見えるのは私だけでしょうか?

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