「生命価値」を中心にした 新しい未来を夢見て…  野菜情報VOL.771令和7年12/21~12/30

  • URLをコピーしました!


       

「プロジェクトX」(NHK放送)で中村哲(なかむらてつ)医師が紛争の絶えないアフガニスタンで、「死の谷」と呼ばれる砂漠地帯に1本の用水路建設を中心となって進める事により緑地帯に変え、75万人が救われたその軌跡が描かれていました。中村医師は医療の延長線上としてどれだけの命を助ける事が出来るかを考え、そして「100の診療所よりも1本の用水路が命を救う」と、用水路建設を幾多の困難の中で進めました。そして、今から6年前、73歳で銃弾に倒れましたが、その棺(ひつぎ)は大統領自らが担ぎ、中村医師の姿はアフガニスタンの人々の心の中に今も生き続けています。生前、中村医師は「世界がどうだとか、国際貢献がどうだとかという問題に煩(わずら)わされてはいけない。それよりも自分の身の回り、出会った人、出会った出来事の中で、人としての最善を尽くすことではないかというふうに思っています」という言葉を残しています。1人でも多くの人命を救うという医療従事者としての願いから用水路建設があり、そしてその道程の中で、争いごとが少なくて治安がよく、麻薬も少ない暮らしが築かれていくと考えていました。

「東日本大震災を経て私たちがたどり着いた切実なる思い」(野菜情報VOL.764)の中で、「げんきの市場」は「生命価値を中心にした経済」をこの時代の中で育てていきたいと書かせていただきました。そして、その為に実践しているのが、生産者と消費者、流通(げんきの市場)がトライアングルで繋がる「間接提携」であり、もう1つが野菜情報VOL.769でご紹介した佐藤秀彦先生の「健康講座」なのです。「健康講座」を始めたばかりの頃は「病気の方のその症状を改善する為に少しでもお役に立てればと…」とのスタートでした。しかし、佐藤先生は「食・心・動・環」の四つの世界で健康を育てる事を病気の方にアドバイスされています。「食べたもの」が「血液」になり「体細胞」になるという身体の仕組みの中で、「食」はあくまでも重要なのですが、それ以外の、心の在り方の「心」、身体運動の「動」、そして私たちの暮らす環境の「環」の3つを同時に整えていく事で「健康」になります。そして、そこから育まれる「健康」は、独善的な「自分さえ良くなれば…」というものではなく、私たちの「喜び」と同時に地球へと広がる「喜び」の世界なのです。

「間接提携」と「地球と同心円の健康」という両輪の力で「げんきの市場」が経済活動として成長していく事により、「生命価値を中心にした経済」の成功事例となり、この時代の経済活動の光になる事を夢に見ています。しかし、実際は、先日も石垣さんが「やっと、満足のいく大根が出来たと喜んでいたら、市況は安いし、売り場も大根が溢れていて…」と、冗談のように話されていましたが、その結果、石垣さんを始め生産者の皆さんの多くの大根が売れ残るあり様です。また、多くの方にとっては「健康講座」も病気の方への1つの情報に過ぎないのかもしれません。実際、現実は常に問題だらけで、軌道に乗せるどころか続けていくのが精いっぱい、その中で、私自身もいたずらに年を重ねています。ただ、それでもあきらめる事が出来ないのは、「今」を生きる者として次の世代に少しでもより良い「未来」を繋いで行きたいからです。そして、中村医師の言葉通り「自分の身のまわり」=「くらしば」から、私たちの「未来」を変える事が出来ると信じているからです。今年も残り僅かとなりました。この1年、誠に有難うございました。良い年をお迎えください。

よかったらシェアしてくださいね!
  • URLをコピーしました!