草食動物には草を切る門歯しかなく、肉食動物は犬歯しかありません。歯は本来その生き物が食べるべき食べ物を示しています。人間は6割が穀類を食べる為の臼歯で、3割が草を切る門歯、残りの1割が肉を食べる犬歯です。このバランスが私たちの食事の理想なのですが、現代の私たちは著しく肉食に偏り、それが様々な生活習慣病の大きな原因の一つになっています。そして、その牛肉1kgを作る為には穀物11kg、水1800Lが必要です。このように肉食に支える為に多くの地球資源が消費されています。このように私たちの身体と地球の健康を歪める習慣を、これからも地球で生きていく為には私たちは変えていく必要があります。そうした、暮らしのヒントに「お麩ごはん。お麩おやつ。」(シラサカアサコ+お麩研究部著 主婦の友社 2014年刊)がなります。
この本の中では「お麩バーグ・お麩餃子・お麩味噌カツ・お麩のから揚げ・酢豚麩う・お麩の角煮」といったお肉の代わりにお麩を使った料理やお麩をベースにした「お麩ドーナッツやお麩アイス・お麩テラミス、スナッ麩、お麩かりんとう」等のスイーツ&スナックが合計で62種類も掲載されています。お麩はもともと中国から伝わり全国各地で独自の進化を遂げてきました。現在、日本国内で90種類以上の種類がありますが、この本で使われているお麩は4種類のみです。切り口の丸い一口サイズの「小町麩」、真ん中に穴のあいたドナーナッツ型の「車麩」、板状の「板麩」、原料にもち米も使った丸い形状の「もち麩」です。お麩を使うときのNGはお湯で戻す事と、きつく絞る事です。お湯で戻すとふっくらした食感がなくなり、ぎゅっと強く握ってしぼるとボロボロ崩れてしまいます。絞る時は両手で挟んで形が崩れないようにしぼります。
実際に本書の中で、お麩が料理の中でどのように使われているかを、第1章「おススメ!お麩レシピBEST11」に掲載されている料理からご紹介いたします。トップに掲載されている「お麩じゃが」は、シラサカさんの献立ブログ「あさこ食堂」が期間限定で開いた「リアルあさこ食堂」の中で出した所、大反響になり、お麩研究部を作るきっかけになったレシピです。お肉の代わりにたっぷりのぬるま湯につけて戻した車麩を両手で挟んで水けを絞り、4つ切りにして使っています。「お麩バーグ」では水に戻さない小町麩をそのままめん棒で叩くか手でつぶして、粉状にしてひき肉の変わりに使います。「お麩ギョーザ」は車麩をたっぷりのぬるま湯に鶏がらスープの素を溶かした中に暫く漬けて、それを絞り、細かくちぎって使います。「お麩みそカツ」は車麩を出汁に味噌をとき、醤油を加え、その中で10分ほど戻して、それを半分に切り、衣をつけて揚げます。
このようにそれぞれのレシピに合わせてお麩を使い分けながら、単に肉の代わりというのではなく、今では使われることが少なくなった元々は伝統食のお麩を、もう一度、現代風にアレンジして少しでも食卓に上がる回数を増やす事が出来ればと活動されています。シラサカさんはこの活動をとおして、「お麩は色々な料理にアレンジしやすい事、栄養があって肉や魚に負けないおかずになる事、おやつや朝ごはん、時短料理にもむいている事など、沢山の発見がありました」と感想を述べています。まずはシラサカさんのお麩研究部のHP(http://ohken.com/)を覗いてみて下さい。