永遠の化学物質「PFAS」から家族の健康を守る意識が必要です 野菜情報VOL.677  令和5年10/15~10/21 

  • URLをコピーしました!

永遠の化学物質「PFAS」(ピーファス)が環境汚染として私たちの健康を脅かしています。「PFAS」とは「有機フッ素化合物群」の総称で、EUの定義では4700種類以上の物質があるとされています。この「PFAS」は耐水性、耐脂性、防汚性などに優れた特性を持つため、コーティング剤、界面活性剤、表面処理剤など幅広く生活用品に使われています。フッ素加工フライパンや防虫剤、撥水加工された雨具やファストフードの包装紙、崩れにくい化粧品や日焼け止め、汚れを弾くソファやカーペット、スマートフォン等の生活用品や泡消火剤などあらゆる生活用品に潜んでいます。

 この「PFAS」が永遠の化学物質と呼ばれているのは、自然界には存在しない物質であり、有機化学で作り出される結合の中で最も強力な物質のひとつで、一度生産されてしまうと分解される速度が非常遅く、自然界や体内に残留して蓄積されていく恐れがある為です。2000年にこの「PFAS」を製造しているデュポン社の周りに住む米国市民7万人に及ぶ疫学調査を実施したところ、腎臓がんや精巣がんなどのさまざまなガンのリスクを高め、甲状腺疾患、腎症高コレストロール、可溶性大腸炎、高血圧、精子減少などのリスクの要因になっている事や、妊娠されている方の場合は、「PFAS」値が高いと妊婦高血圧腎症、生まれる子供には出生体重の減少、甲状腺ホルモンや性ホルモンの異常、神経発達の遅延、脂質異常などのリスクが上昇するという事がわかりました。

 今年の5月に放送されたNHKのクローズアップ現代では大阪府摂津市の「PFAS」工場周辺の井戸水から住民の血液まで汚染されている実態が取り上げられ、7月のTBSの「報道特集」では横田基地の泡消火剤800ガロンがタンクから1年以上をかけ漏出し、それが地下水を通じて基地の外に流出して周辺地域の井戸水に浸透し、地域住民の健康を脅やかしている事態を報道しています。このよう「PFAS」の製造工場やそれを使用し製造する施設での同じような環境汚染と地域住民への健康被害が、米国では何年も前から明らかになっています。そして2017年、米国では「PFAS」を製造していたデュポン社は水質等の環境汚染の訴訟により地域住民に約65億円を支払い、同じく「PFAS」製造をしていた3M(スリーエム)社も飲料水汚染で訴えられ地域自治体に最大で1兆8000億円支払う和解案で暫定合意しています。

 このように「PFAS」公害に対して厳しい米国では、生活の中での「PFAS」混入が大きな問題になっています。昨年、コカコーラ等の飲料に「PFAS」の混入による訴訟問題が起き、またトイレットペーパーからも検出される事態が発生しています。現在、日本の飲料水の「PFAS」の暫定上限は米国0.004ng/lに対して50ng/lです。このように「PFAS」の規制に、まだ我が国が本腰でない以上、私たちは自身の手で暮らしを見直す事が必要です。例えばフッ素加工フライパンを使っている方は空焚きをする事で溶け出す可能性があり、化粧品や日焼け止めでは肌から侵入する経皮毒として蓄積される可能性があります。ファストフードやコンビニ弁当を容器のままレンジで温めると熱により溶け出した「PFAS」が体内に入る危険があります。私たちは永遠の化学物質「PFAS」を体内に蓄積するリスクがある事を認識して、できる限り取り込まない工夫をする事が必要です。

よかったらシェアしてくださいね!
  • URLをコピーしました!