かつて日本で「粗食ブーム」が起きた事があります。バブルの時代が日本で完全に終焉した時代背景の中で、1995年に管理栄養士の幕内秀夫氏が「粗食のすすめ」(東洋新聞新報社)を出版し、140万部の大ベストセラーになりました。さらには幕内氏の「粗食のすすめレシピ集」などの関連本を含めると累計で300万部もの売り上げをあげました。そして「粗食」という価値がブームとなったのですが、やがて「粗食」という言葉だけが独り歩きをし始めていく中で、次第に「新型栄養失調症」が社会問題としてメディアで取り上げられるようになりました。
この「新型栄養失調症」は、かつての食糧不足で栄養失調になってしまうものとは異なり、その多くは生活習慣によるものでした。それらは、若い女性の無理なダイエットによるものや、中年男性の栄養を無視したインスタント中心の食事、また老齢化により高齢者が自ら作る調理の手間が少なく、歯が悪いために柔らかい簡単調理の食事などで栄養不足を招いたものです。そして、それが本来の幕内先生の提唱された「粗食」から離れ独り歩きする中で、「粗食」の弊害として「新型栄養失調症」がニュースなどで取り上げられるようになったのです。そして、「健康と長寿の秘訣は肉」といった考え方がグルメ番組の台頭と共に主流なり、今現在へと続く「空前の肉ブーム」が続いています。
幕内氏の「粗食のすすめ」では肉類や乳製品を積極的にとる現代の欧米型食生活やファースト・フードや加工食品への依存がアトピーやアレルギーなどの生活習慣病の原因であり、風土に根ざした、伝統的な穀類中心の献立と調理方法を提唱しています。そして、主食は玄米でそれに漬け物と味噌汁をしっかり食べれば、おかずは野菜と魚を少しだけでよいというものです。ちなみに幕内氏は食事療法で病気を治癒することを目的に開院されていた森下敬一博士の「お茶の水クリニック」に入り、この本に書かれたような食事による食事療法を学ばれましたが、幕内氏をクリニックへ採用したのが、当時、御茶ノ水クリニックの事務局長をされていた佐藤成志先生でした。佐藤先生には長年「げんきの市場」で健康講座をご指導いただき、「粗食のすすめ」で書かれている未精白の穀類と旬の野菜を中心にした穀菜食を学んでまいりました。
このように食事から健康を育てる為には主食である穀類から栄養を取る事が大切です。その為には玄米を食べる事が最適なのですが、「玄米はぼそぼそしてまずい」「消化が悪い」「水につけて炊くのが面倒」など様々なハードルを感じる方が多いのではないでしょうか?そんな、「身体に良いのは分かっていても…」という玄米の問題点を解消する為に、2020年、農研機構により「おぼろづき」と「ゆきさやか」という2種類のお米の品種交配により「ゆきむつみ」という新しい品種が生まれました。玄米の表皮が薄く、非常にももちもちとしているため、今まで「玄米は苦手」と感じていた方も美味しく召し上がれます。このもちもち感は冷めても残るので弁当でもパサパサしません。さらに表皮が薄いので消化の負担も少なく、炊飯も白米と同時間で水につけて炊けます。「げんきの市場」ではこの「ゆきむつみ」を農研機構と共同開発をした「玄米酵素グループ」より分けていただき販売をスタート致します。生産者は北海道新篠津村の岡崎繁章さんら5人で、農薬無散布無化学肥料栽培で育てています。「ゆきむつみ」は白米と混ぜると違和感がなく、玄米炊飯すると玄米史上最高の食べやすさです。玄米が苦手な人も、ぜひお試しください。