私たちの体には一日に5000個ものガン細胞が毎日毎日出来ると言われています。そして免疫細胞が日々5000戦5000勝0敗の戦いを繰り広げながら、その中でミスをして生き残ったガン細胞が通常は10年から20年の時間をかけ分裂を繰り返しガンになります。このガン細胞を体外に排出する抗菌性物質が2002年に英国のデ・モントフォード大学で抗ガン剤の研究をしていたゲリー・ポッター博士により発見されました。それが植物に含まれているポリフェノールに似た天然成分の「サルベスト―ル」です。
この近年になり発見された「サルベスト―ル」の定義は「ガン細胞特有の酵素と反応し抗ガン物質に変化する植物由来の化合物」です。この「サルベスト―ル」が体内に取り入れられ、ガン細胞に出会うとガン細胞に含まれる固有の酵素(CYP1B1:シップスワンビーイン)と結びつきます。すると「サルベスト―ル」は代謝物質に変化し、ガン細胞を攻撃します。このプロセスは細胞が前ガン性(放っとくとガンになる可能性高い)であっても機能します。そのため、「サルベスト―ル」」を体内に取り入れることは、ガン予防になると考えられています。また、ガンには実に様々なガンがありますがそのほとんど全ての種類にCYP1B酵素は存在し、この「サルベスト―ル」はガン細胞を攻撃します。
植物は常にその成長の過程で病原菌からの攻撃にさらさています。そのおもな外敵の1つが真菌=カビであり、これから身を守るための成分のひとつが「サルベスト―ル」なのです。カビ菌が攻撃してきたときに「サルベスト―ル」を作り出し侵入を防ぎます。この防御システムが働くのはカビ菌が付着した時だけなので、防カビ剤や殺菌剤などの農薬によって病原菌やカビがよりつけない環境では「サルベスト―ル」の生成は著しく激減してしまいます。オーガニック(無農薬)栽培の野菜や果物ほどサルベストロールが豊富に含まれ、慣行栽培に比べ3~30倍のサルベストロールが含まれると言われています。そして、現代人の「サルベスト―ル」の摂取量は100年前の1/10にまで減っています。
この天然成分「サルベスト―ル」について詳しく紹介している「ガンが嫌なら野菜を変えなさい」(2019年veggy5月号増刊)の監修をされた医師の石黒伸氏監修は「これからは医者が食事まで見る時代だ」と話され、「私たちの体の細胞は毎日生まれ変わっています。自分の作品である『体』をいい素材(食べもの)でつくりましょう」と提案されています。現在、私たちが農薬を使っていない野菜を選ぶのは安全性や栄養価の高さ、またはその素材の美味しさからがほとんどなのかもしれません。この「サルベスト―ル」という成分を通して医学的な観点から「オーガニックが身体によい理由」をしり、1人でも多くの人が「オーガニック農産物」を取り入れるきっかけになればと願います。そして、それが、この異常気象の中で、農薬を使わずに生産努力を続けている生産者への応援に繋がる事を心より願います。