食べものが循環する「地域共同体」という未来を育むために… 野菜情報VOL.631 令和11/6~11/12

  • URLをコピーしました!

 吉川市の吉澤さんから「よしかわ農業委員会だより」に掲載されていた「グラフで見てみよう『吉川の農業』」という2つのグラフを見せていただきました。1つは「吉川市の販売農家数の推移」のグラフで、2005年から2020年までの15年で762世帯あった販売農家が411世帯に減っています。販売農家とは田畑の面積が3反以上もしくは年間50万円以上農産物の販売収入があった農家で、それが15年間で46%、約半分近くにまで減っています。

もう1つのグラフは吉川市の2020年時点での10代から80代までの「年代別の農業就業人口」の棒グラフです。一番多い年代が70歳代で、次に60歳代、そして80歳代と続きます。そして、この3世代が占める割合が全体の約87%になり、それに50代までを加えるとなんと約94%を占めることになります。吉澤さんも「若い人が農業に入ってこないのは何となく理解していましたが、あまりにも若者が少ない現実に唖然としました。正直、この数字は農業に関わるものにとって衝撃的ですよ」と話されています。

 吉澤さんは吉川市の農業委員会の委員として、4年間近く毎月吉川市の農地パトロールを行い、地域の農業用地の見回りをしてきました。そして、年を追うごとに荒れた農地が増えている事を目の当たりにしてきました。「特に昨年の農協の米価価格の暴落を境に、荒れ果てた農業放棄地が顕著に増えているように感じる」との事です。そんな荒廃していく農地の現状に接しながら、「政府は『みどりの食糧システム』を策定して、2050年までに有機農業を全体農地の25%(100万ヘクタール)に拡大する目標を立てていますが、どうしたらそんな未来をこの現状からつなぎ合わせることが出来るのか…」と苦笑されていました。

 東京大学教授で「農業消滅」の著者である鈴木宣弘氏の「日本でも餓死者が出る」(「維新と興亜」12月号)という記事の中で、「ウクライナ紛争で浮き彫りになったのは、食べるものを自国で賄えるようにしておかないと、いざという時に我々は生きていけないということであり、このままでは来年はわからないという状況に陥ってしまっている」と警告しています。「食糧」は「軍事」「エネルギー」と並んで国家存立の三本柱です。しかし、いまだに私たち日本人はその認識が乏しく、食料自給出来ないこの国の実態が、国際的緊張の中で自分自身を含め、大切な人々の事を危険にさらしている現実に目を背けたままです。

 私たち「げんきの市場」はそのような時のためにこそ、皆様のお役に立てることが出来ればと地域のオーガニック生産者の方々の農産物を届けてまいりました。今こそ、私たちの地域の中で、私たちの力で「食べもの」が最大限に地域循環する「運命共同体」を生産者の方々と一緒に育ててまいりましょう。11月23日水曜日、収穫祭の特別イベントとして、げんきの市場に出荷されている地域の生産者の方々との「懇親会」を開催いたします。裏面の案内をご確認ください。当日は、間もなく溢れ出す秋冬野菜たちの試食もはさみながら、私たちの食卓へ「安全」「美味しさ」「健康」を届けていただいている生産者の皆様の農業を取り囲む状況に耳を傾ければと考えております。是非、皆様のご参加をお待ちしております。

 

よかったらシェアしてくださいね!
  • URLをコピーしました!