「輸入牛、輸入豚、輸入鶏を食べてはいけない。なぜ日本人だけたべているのか‼」というショッキングな見出しが気になって、女性セブン3月25日号を手に取りました。ページをめくると「EU・ロシア・中国が食べていない肉を何故日本人だけが食べているのか‼」というさらに刺激的な副題がついていました。
現在、日本の輸入牛肉はアメリカとオーストリアで9割近くを占めていますが、どちらともEU向けには肥育ホルモン剤不使用で生産している一方で、日本へは肥育ホルモン剤使用牛肉が輸出されています。「この肥育ホルモン剤は1988年にEUで禁止になり、わずか7年で、EU諸国の多くで乳がんの死亡率が20~40%も減少しています。これを投与すると子牛の飼育期間が短縮され経営効率が上げられるため、現在でもアメリカ・カナダ・オーストリアで当たり前に使用されています」(ボストン在住の内科医・大西睦子さん解説)。日本でも一応はWHOの基準に準じたホルモン剤の残留上限は設けているものの、その検査はほとんど野放し状態、この状況を女性セブンの記者が農林水産省に確認したところその事実を認めたそうです。
輸入豚と輸入鶏の場合、この肥育ホルモン剤は使用されていませんが、代わりに「ラクトパミン」という成長促進剤が投与されています。食の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行さんは「人間が摂取すると、心臓の神経伝達物質に影響を及ぼすため、心臓系疾患を持っている人は心肺停止の可能性ある物質です。そのため、EUだけでなく、中国やロシアまで使用と輸入を禁じています」と指摘されています。
そしてこの特集では飼育中の病気の予防のために家畜に投与される抗生物質の問題が取り上げられています。「抗生物質が残留した肉を食べる事により肝機能障害を起こすリスクが指摘され、また、抗生物質を投与し続けることにより耐性が生まれ、どんな薬も効かない『スーパーバグ』の誕生が問題になっています」(東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘さん談)。スーパーバグ感染症により年間で70万人の死者が出ています。2017年の「サイエンス」誌によると、米国では抗生物質の80%は豚や鶏に使われ、それを食べた人間が間接的に摂取します。そうした状況の中で、「近年の研究で抗生物質の残った肉を食べると、腸内フローラを破壊する可能性があり、肥満や若年性糖尿病、アレルギーの増加に関連するとの指摘があり、一部の研究者からは、自閉症やアルツハイマー病、パーキンソン病の増加に関連していると見ています」(大西さん)
それ以外にもアメリカでさえ輸入禁止になっているブラジル産の鶏肉が毎月3.2万トンも日本に入ってきており、その肉から遺伝子組み換え飼料の毒性やホルモン剤や抗生物質の大量投与による残留の危険性が指摘されている事実などを恐ろしい日本の輸入肉の現実が満載でした。
日本人を取り巻く病気の一因はこうした食の現実にあるかもしれません。ただ、だからといって国産肉を選択すれば解決するわけではありません。成長剤・抗生物質・添加物・遺伝子組み換えなど様々な汚染の危険性が食品に複合しながら「経済性」という名のもとで繰り広げられています。大切なのは「経済」と「生命」とのどちらを大切にして育てられたかです。現実を知り1人1人の消費が「生命」に価値をおき選択することが出来れば、私たちの未来も大きく変わっていきます。