吉川市の若い奥様達の間で、キムチづくりが今年の冬に流行りました。宅配会員の若い奥様が韓国の方のつくっているのを参考にしてインスタグラムにアップしたところ、「美味しそう」と大反響で、それを見たお友達が作り方を教えてほしいということになり、毎回2~3人位の少人数ですが8回は一緒につくつたそうです。「白菜だけじゃなく、セロリや長芋など色々な野菜で出来ます。はちみつを入れたりして辛みを抑えると子供も食べる事が出来るんですよ。色々なアレンジが楽しいですね。その後、子供たちも一緒にみんなでキムチ鍋をつくって食べると最高に美味しいですよ」と、楽しそうに話されていました。
新しく宅配会員になられた方が「にんじんがお気に入りです。農薬の心配がないので皮付きのまま1. 5cm-2cmの厚切りにしバターをひいたフライパンに並べ塩コショウをしてフタをして蒸し焼きに。シンプルですが、この食べ方が一番、にんじんの甘みやホックリした食感が楽しめるのでおススメです。一緒にジャガイモや大根も蒸し焼きにしたりします」というコメントを寄せていただきました。
今、安全性を売り物にした宅配業界はどこも「ミールキット」の販売に力を入れています。すでにカットした具材を混ぜ合わせて炒めたり、煮るだけで簡単に食事ができ、忙しい主婦たちに喜ばれているそうです。この時代の中での一つのカタチかもしれませんが、そこには大切なものが欠けているように思えてなりません。1980年代、大躍進を続けていたスーパーマーケットの中に「家庭からまな板をなくす」と宣言したグループがありましたが、それと同じ匂いを感じてしまうのは私だけでしょうか?
金丸佐祐子さんは「食」の楽しさや奥深さが日常茶飯(にちじょうさはん)の中にあることを伝えたくて家庭科の教員になりましたが、一律のカリキュラムの中にそれを教える場はなく、自ら生活工房「とうがらし」を立ち上げました。生活工房とは「日常食」を作って、食べて、記録して、ときには今風のアレンジする場所という意味で名付けました。そして、その「日常食」とは、普段私たちが食べている「おふくろの味」であり、郷土料理であり、地産地消の名もない料理を指しています。
「食」の楽しさが冒頭のキムチ作りやニンジンの蒸し焼きの中にあります。作る事も食べる事も「食」の一部であり、大切な人生のーコマです。金丸さんは日常茶飯の中に受け継がれる「食」の中には「おいしさ以上のもの」があると考えています。それこそが私たちの人生を温め、暮らしを豊かに彩ります。