【げんきの市場で待ち合わせ】vol3「野菜が高い! 【げんきの市場で待ち合わせ】

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連日、野菜の高騰がニュースになっていましたね。最近は少し落ち着いてきましたが、近所のスーパーで「ブロッコリーが高い!」「キャベツがない!」「ネギが硬い!」と、70代実父も騒いでいました。

 でも、話題になる野菜の品目に、自然学農家の視点からは少し違った読み解きで答えます。

「そりゃ、菜の花の季節はとっくに終わったんだから。ブロッコリーは菜花と同じだよ。キャベツもトウが立って花が咲けば菜の花。本来はもうカラカラに枯れて、種がはじけてる時期だよ。そもそも季節外れに作るんだから高いの。高い高い文句言わないでっ!ネギもじきにトウが立ってネギ坊主になる季節だから、硬くて当たり前だよっ!」

自然学農家の妻として、娘はため息が出ます。野菜の育つ現場を、もうちょっと知って欲しいなぁ、と。

 先に触れたブロッコリーとキャベツの高騰は、一年を通して安定供給するための産地間リレーが、天候不順によってうまくいかず、供給量が減ってしまったために起こっています。便利で使い勝手の良い野菜は一年中食卓に欠かしたくないし、健康に良いとTVで言われれば真夏でもブロッコリーは摂らなきゃ、と努力する健康志向な消費者の皆さんの願いに応え、育てています。

 足りなくなるなら生産量を増やせばいいじゃないかと言われそうですが、野菜の「植物としての性質」から考えると、実は、アブラナ科に属する大型主要野菜、キャベツやブロッコリー等の関東近郊平地での旬は秋から冬にかけてであり、本来は「今の時期には存在しえない野菜」なんです。

 生態に多少無理をして育てるため梅雨にかけて病気になりやすいリスクがあり、適地は東北地方や山間地・北海道などと限られます。無理に作って暴落すれば、遠くへ運ぶので経費も掛かるのにそれが回収できなくなります。もともと高値になりやすいのに、天候のさじ加減でさらにちょっと高くなっただけで、一生懸命育てている農家は、TVや政府や消費者に「高いわねぇ」と叩かれてしまう・・・。

 皆さんにお願いです。あまり、高い高い言わないで欲しい。物価高が大変なのは農家も同じです。高値と言っても農家の手取りが上がっている訳では無いのです。どんな農家も頑張って育てています。慣行・有機・自然栽培問わず、生産者の一人としての私の純粋な想いです。

またそれらを食べるな、とも言いません。要は、「高くなるのもやむを得ない、今は本来なら時期外れなんだから」と知った上で、大切にありがたく召し上がって頂けたら幸いです。

 そして、野菜の生態を少しでも知った上で、旬、すなわち「出盛り」の野菜を思う存分活用してください。げんきの市場の店頭が旬の地野菜のお手本です。今ですと、ズッキーニが出てきました。新玉ねぎもまだいいかな。春のサニーレタス類も気温が上がってくると病気になりがちですので梅雨までが旬です。さらにインゲン、キュウリ、ピーマン、なすといった順に暑い時期に元気になる野菜たちの旬が巡ってきます。

 ちなみに、本拠地である北伊豆の山の畑は、こちらよりだいたい1~2週間旬がずれます。

六月下旬の様子はというと、赤いジャガイモやインゲンの花が咲き始め、里芋の葉が二・三枚、キュウリやズッキーニ、カボチャは苗が根付いてこれから伸びだすといったところでした。今年のスナップエンドウは不発で元気がなかったのが残念。インゲンやこれまた根付いたばかりのピーマンたちに期待、です。

滞在時、野良のビワの実は食べ頃まであとほんの少し!あぁ、二年連続食べそこないました・・・(泣)。

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