日本の農業にはどのような未来が待っているのでしょうか?昨年、山形の小関さんにお聞きした話が心に刻まれています。「農業人口の平均年齢が70歳だと騒いでいますが、実際のところ、その主流にいるのは団塊の世代と呼ばれている75歳以上、あと5年もするとそうした人たちが80歳を越えていきます。あと何年農業を続けることができるのか…」。日本農業の崩壊が叫ばれて久しいですが、それは確実に、今、私たちの目の前にある現実なのです。そのような中で、日本が農業政策の教科書として良く取り上げられているのがEUの農業政策です。そこで、1月16日に開催された家族農林漁業プラットフォームジャパンのオンライン講座、「EU共通農業政策(CAP)はどのような支援を提供するか?」に参加致しました。講師は福岡大学商学教授の豊 嘉哲(ゆたか よしあき)博士。EUは現在27カ国の欧州諸国で構成されており、その中ではヒト、モノ、カネの移動が自由であり、EU加盟国では共通の政策が採用する事があり、CAPもそのひとつです。
第二次世界大戦後、1962年にEUでは過剰生産により農産物価格が値下がりして生産者の収入減少となり、その中で最低保証価格の設定の必要性が議論され、生産者を守る為に、EUの資金で余剰農産物の買取りで生産者をささえるCAP( EU共通農業政策)がスタートしました。しかし、それを実際、実行していく中で、余剰農産物買取りの為には莫大なEUの税金が使われ、また、余剰生産物は最低保証価格(以上の価格)で買い取られるために、生産者は少しでも多く生産しようとし、化学肥料や農薬が過剰使用され、それにより環境問題が悪化していきました。この2つの問題から1992年以降からCAPの改革が進みました。そして、全量引き取りをやめ、その後も変革を繰り返しました。現在、CAPが目指している農業は持続性があり、生産性が高く、競争力のある農業の育成を目指しています。そして、その優先事項として、以下の4つの項目をあげています。
・ 食品の質と安全を保障する
・ 環境と動物福祉を遵守する
・ 世界貿易をゆがめることなく、EUの農家が世界で競争力を持てるようにする
・ 農村地域を保護し、活力と持続可能性を高める
この目的を達成していくために、現在、2つの政策を推進しています。1つは一定の条件を満たした農家への「直接支払い」で、もうひとつは「農村開発政策」です。そして、2030年までに達成予定の数値目標を4つ掲げています。①化学合成農薬の使用とリスクの50%削減と、一層有害なそれの使用の50%削減、②窒素やリンなどの養分損失の50%削減と化学肥料の20%削減、③畜産と養殖での抗生物質の50%削減(売り上げベース)、④全農地の25%における有機農業の実施です。
しかし、CAPが目標を推進していく中で多くの問題が散在しています。その一つが直接支払いです。受給には条件を満たす必要があり、そのコストと直接支払いの額を比較して小規模農家が受給を断念する事があり、その他の保証がありません。また、全農地の25%における有機農業の実施についても、有機農業では農産物の均一性が失われますが、流通過程の全てがそれに対応しなければなりません。そして、それにより生産者は生産物の価格の暴落に直面する問題が起きています。
