福井県で米生産者の石塚さんを訪ねた翌日は、ピロール農法の普及とその資材の販売とさている黒田与作会長にお会いしてお話を聞く事が出来ました。「福井県には江戸時代にお殿様専用に作られていた特別に旨い米『おひきどり米』があって、福井市の東明寺畷(とうみょうじなわて)という土地で作られていたのよ。1970年に、その特別美味しい米が出来る田んぼを調べる為に調査に入ったんだけど、その時、田んぼの土には一面に青緑色の藻がはびこり、所々がそこにまるで鮮血をまいたかのように真っ赤な藻になっていてのよ。私(黒田会長)は今から48年前に、その調査に入った赤や青緑の藻が育つ土に出会ってびっくりしたのよ。驚いた。そして、その土に何が起きているのかを知りたくて、郷土のエジソンと呼ばれていた有機化学者・酒井弥(みつる)博士の酒井理化学研究所に持ち込み、それから20年、先生と一緒に研究を続けて、1995年に先生が『その土にはびこる微生物の正体はシアノバクテリア(別名:ラン藻)である』と解明してくれて、ピロール農法の理論が完成したのよ。そして、ピロール農法の普及を私がする事になったの。」
地球創世記の36億年前、シアノバクテリア(ラン藻類)が海で増え、それが光合成をして地上の酸素をつくりました。シアノバクテリアは地球上のあらゆる所、土中にも生息していて、それが光合成をする事により、土の中から酸素と有機物が産(うま)れ土中が変化します。そしてシアノバクテリア以外の好気性微生物も増え、田んぼや畑にたくさんの生き物が住み、土壌微生物がビタミン類などの有用物質を生み出します。さらに作物の根腐れや連作障害も起きにくくなります。元気な根からは、たくさんの養分が吸収され、カルシウムなどのミネラルやビタミン類が豊富に、しかも、人体に吸収されやすく(キレート化)なります。さらに弱アルカリ性でビタミン・ミネラルが多いのでアレルギーやアトピーにも優しい作物になります。このようにシアノバクテリアが繁殖し酸素が産れるピロール農法の土に、元気な根が大地をしっかりつかみ、たくさんの栄養分を吸収し、ミネラルやビタミンがいっぱい詰まった健康で栄養豊富な美味しいお米やお野菜が育ちます。
これまで黒田会長は数多くのピロール農産物の検査をされてきましたが、今まで農薬は全く検出されていません。シアノバクテリア等農薬分解能力のある微生物が増殖し土壌菌が豊富で農薬を分解するためです。ピロール土壌からはトリハロメタン類を分解する菌も発見され、信じがたいですがダイオキシンも分解します。有機堆肥の場合は土中発酵によりCO2がでますが、ピロール農法はCO2ではなく酸素がでます。また、現代の酸性雨が降る状況でもアルカリ土壌なので、作物は元気に育ちます。そして、水田や河川ではシアノバクテリアは光合成を行いながら水質の浄化を行ってくれます。シアノバクテリアは大気、土壌、河川等自然を浄化し環境維持をサポートします。
最後にピロール農法のという名称ですが、なぜピロールなのか?わかりやすい名称ならシアノバクテリア農法などの名称でもいいはずです。「ピロールとは本来分子記号を指し『有機の元』という意味なの。植物に入って葉緑素の元になり、それが動物に入って血液の元になり、やがて排出物されて大地へと戻る。まさしく生命循環の要であり、それがピロール農法の由来」との事でした。
※黒田与作会長と石塚さんご夫妻ご一緒に撮りました。