「ガン余命ゼロと言われた私の死なない食事」を読んで思う事 野菜情報VOL.712  令和6年7/7~7/13 

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 がん余命ゼロと言われた私の死なない食事」(幻冬舎 2017年刊)という本を、お客様のご紹介で読ませていただきました。きっかけは「この本の中でオルチョ(朝倉さんのオリーブオイル)が紹介されているんですよ」という言葉です。著者の神尾哲男さんはフレンチのシェフで2003年、51歳の時にステージ4(末期)のガン(前立腺がん、脊髄と鎖骨と鼠径部リンパ節に転移)と診断されました。そしてその時に、料理が本業の神尾シェフは「料理で病気を治すんだ」と決心し、抗がん剤を拒絶しました。以来、主治医に「生きているのが信じられない」と言われながらも、14年間生きてきたその生きるエネルギーの源である「食」を徹底的に改善することにより、命のリセットをしたそのノウハウを後世に残したいと本書は書かれました。ショッキングな題名が目を引いたのか、本は発売と同時に再販を重ね、たちまち14万部のベストセラーになりました。

 神尾シェフは若い頃からお酒が大好きでウイスキーなら水で割らずにラッパ飲み、たばこは1日1箱を吸い、ジャンクフードも大好きで食べまくって暴飲暴食を繰り返してきました。そして、フランス料理の修行時代はごはんを全く食べず、肉中心の欧風の食事一辺倒で暮らしました。そして甘いものも大好きで、羊羹を1本丸ごと恵方巻のように食べ、明治の板チョコを最低でも一度に3枚はペロリ、喫茶店で人と話すときもシュガーポットの角砂糖をつまみながらガリガリやっていました。仕事のストレスをコントロール出来ず、ご本人曰く「あれがこれが原因、ではなく、全てみんな、不摂生を続け、社会毒にまみれて生きていた生活全体が、ガンに直結していた」のでした。

 それが自身の不治の病に直面した時、自分の身体を変えていく為に選んだ方法が食べものを変える事でした。身体の殆どの細胞は、それぞれ一定の期間ごとに新陳代謝を繰り返し再生しています。その基になっているのが毎日の食事であり、それを良く変えていく為に目指したのが「昔の日本食」でした。それは一般的に知られているマクロビオティックや、げんきの市場で佐藤先生にご指導いただいている穀物と野菜中心の「穀菜食」に近いものです。神尾シェフは自らを実験台にして、食品添加物の多い食品を避け、塩、砂糖、醬油、油、酢などの調味料を徹底的にこだわり、神尾流のガンで死なない食事術を開発されました。その調味料の紹介の中の油の推奨品でオルチョサニータが紹介され、また、それ以外にもげんきの市場で取り扱いしている調味料が紹介されています。

 神尾シェフはこの本を出版された直後の65歳 で逝去されました。死因は公表されていませんが、2003年に患った前立腺癌によるものと推測されています。ガンの場合は5年生存率が一つの完治の目安なので、余命ゼロの宣告から14年生きぬいた事実は奇跡と言えます。ただ、それでも65歳というまだ平均寿命に届かない彼の最後に、ネットでは様々な死因に対する憶測が挙げられています。神尾シェフは、これからも同じような病気に直面する方が現れる中で、彼がゼロから生きぬいた奇跡は、「希望の光」であり決して否定されるものではありません。ただ一つ、私が本書を読む中で感じた事は、「自己流というものの怖さ」でした。人間は継続的に自身を客観的に見つめる事は難しく、このような時こそ、そうした経験を数多くサポートしている方のアドバイスは必要です。

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