今年も長野県高遠町(たかとうまち)の宇野さんが主宰する「伊那の谷ユゥキの会」より無農薬無化学肥料栽培の野菜が届いています。その事務局をされている遠目塚さんから次週の野菜の出荷予定案内と共にショッキングな近況が寄せられました。
「先週は、宇野さんの畑で定植したピーマン類の苗400本位が、 鹿にやられて全滅してしまいました。柵を乗り越えられる場所があったようです、、、、。 ショックで言葉もありません。 動物とどう共存してゆくか?難しいです。」
すぐに電話をかけ状況をお伺いすると、遠目塚さんからその状況を写した写真を送ってくださいました。
1枚目の写真がその惨状です。
「鹿による被害で全部なくなってしまいました。3月にセルトレイに種をまき、ポットに移し替え、毎日々々世話をしてようやく畑に植え付けた苗が一夜でなくなってしまう。『わかっちゃいるけど泣くに泣けない心持ちになります。』と宇野さん。」というコメントが添えられていました。
2枚目のの写真は5月中旬に宇野さんが苗の定植を終えた時の笑顔の写真です。
5月に開催した「地場生産者と消費者の懇親会」で流した映像には、吉川市の山崎さんの整地された畑にタヌキとアライグマの2種類の足跡が残っていました。それを見た越谷の生産者の石垣さんは「うちの方ではハクビシンが多いですね」と話されていました。
長野県高遠町では鹿と猿による被害が獣害の殆どで、畑の回りには柵をしていたのですが、「たぶん、鹿が土手の傾斜を利用して柵を飛び越えて侵入した…ようです。仕方がないので、3枚目の写真のように柵の上にネットを継ぎ足して、念のために4枚目の写真のように畑の周囲にも2mのネットを設置した」そうです。
遠目塚さんに、今回のような獣被害の深刻化についてお伺いすると、「私たちは鹿や獣たちが悪いと思ってはいません。生きるためにやっている事ですから…。昔からここに暮らしてきた人たちの話を聞いて、共に暮らしていく方法が見つかれば有難いです。ただ、ここら辺も人がどんどん少なくなって、山道の整備や里山の間伐が地域住民の手で出来なくなっています。限界集落に近づいてきているんです。今回の事件もそれが人の暮らしへ獣たちが下りてくる原因の一つかもしれません。」
欲望にまみれたこの文明は自然を破壊するだけではなく、「かつて自然と共にあった日本の暮らしの文化の維持」が出来るかを、現代の私たちに試しているのかもしれません。