「歳をとったら何を食べても同じ…」ではありません 野菜情報VOL.639令和5年1/15~1/21

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 「子供が小さい頃は食べものにも気を付けていたけど、今は何でも食べている。年をとったら食べたいものを食べて死ぬだけよ」。「げんきの市場」を始めて間もない頃、店のチラシ撒きをした時に言われた言葉です。よくお伺いすると、この方は「お子さんが小さい頃は子供のために健康にも気を付けていたけど、大人になり手が離れたので、今は値段重視で好きなものを食べたいだけ食べて、死ぬ時が来たら死ねばいい」という事でした。

 「歳を取ったら何を食べても同じだ」という考えを持つ方は他にもいるのかもしれません。しかし、これは正しい判断とは言えないのです。歳を重ねてからこそ、食べているものが重要になります。また食事による健康維持を否定する方たちの中には「本当にこの時代の食べものが悪いのなら日本人の平均寿命が伸びているのはおかしい。今の食事を食べ続けていて問題ないはず」という方もいるのではないでしょうか?これも正しいとは言えません。

 日本人の平均寿命が伸びたのは、1899年からの死因別死亡率の推移をみると、戦後までは「肺炎」「胃腸炎」「結核」などの感染症の医療が進んだ為であり、不衛生や貧困による栄養不足からの若年時の死亡が軽減されとことも全体の平均寿命を大きく上げていきました。その後健康保険制度が行き渡っていく事や、かつては治療が難しかった脳出血など様々な病気の治療方法が進んだ事が平均寿命を延ばした要因になっています。

 確かに平均寿命自体は伸びましたが、健康寿命と10年近くの差があります。健康寿命とは「日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活が出来る生存期間」の事です。誰でもいつかは死を迎えますが、出来うる限る最後まで自身の力で健康に生きる事こそ幸せな一生の終え方ではないでしょうか?そのために大切なのが「こころ」と「運動」と共に、何をどのように食べて生きるかが決定的に差をつけます。

ガンは1981年以降、ずっと日本人の死因第一位です。ひところ「日本人の二人に一人は一生に一度はガンになる」というテレビのCMがありました。それは2017年に国立がん研究センターが、男性が一生の間にガンと診断される確率が約66%で、女性が約50%という数字のデータを基に推計したためです。そして、ガンという病気は、私たちの平均寿命が伸び、高齢になればなるほどに「なりやすい病気」なのです。

 

 冒頭の「年をとったら食べたいものを食べて死ぬだけ」という発想は、健康寿命の事やガンが高齢になるほどかかりやすい病気であるという事実を思うと、決して的確な判断とは言えません。年を重ねれば物忘れがひどくなったり、今まで出来た事が出来なくなったりと、老化には逆らえないのが私たちの現実です。そしていつか確実に死にます。だからこそ、最後の日が訪れるその時まで、笑顔を絶やさずに健康に過ごす努力を続けていきたいものです。

 

 

 

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