「続おいしさ以上のもの」野菜情報VOL.553令和3年4/11~4/17

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「季節の新ものを混ぜご飯にして楽しんでいるんですよ」。

常連のお客様にそんなお話をお伺いしました。「タケノコはもちろん、蕗が出た時も、枝豆が出た時も何でも混ぜご飯にして楽しんでいます。作り方はシンプルで、炊きあがったご飯に味を加えないで、新ものの野菜をその野菜に合わせて簡単に調理して、混ぜて楽しんでいます。例えばみょうがが出てきたら、みょうがをスライスして、細かく刻み、さっと塩を振って10分位おいてから、よく絞って、甘酢につけて、それを炊きあがったご飯に混ぜます」

また、別の奥様からは素敵な子供の頃の思い出をお聞きしました。「私が生まれ育ったのは宮城の山深い村で、農業に生きた私の母は、野菜を育て、野の草を摘み、余すことなく自然の恵みを幼い私たちが囲む食卓へ、ご馳走にかえて出してくれました。間引いた小さな大根や大きく育ったきゅうり、さつまいもの茎や葉、あらゆるものが母の手で蘇り生まれ変わりました。若い頃は、テレビに出てくる料理とは違う食卓に反発することもありましたが、それが…、この歳になって、今ではそうした東北の農村の女たちが自然と共に生きてきた暮らしがとても懐かしく感じます」

お二人のお話をお伺いして思うのは豊かさというものは生活の中で自ら作り出すものだという事です。前に別のお客様二人から「面白いから」と紹介されて読んだそれぞれ2冊の本が偶然にもいずれも不登校になった子供が、大自然豊かな田舎に住む祖母のもとで暮らすことにより再生をする物語でした。私たちの生活の中に大切な何かが欠けている、そのことを教えてくれました。

スタンフォード大学の外郭団体のハートマス研究所は、心臓から発生する磁場は脳の磁場より最高で5000倍も強く、この磁場は体内だけでなく外界まで広がり、そして、心臓自身に感じる知性があるこということを発見しました。私たちの身体は頭ではなく胸の鼓動から先に感じるものがあるのです。

日本には四季があり、四季折々に丹精込めて育てられた野菜たちには大自然の生命がやどります。そうした野菜たちで季巡(きじゅん)に沿った食卓を彩ることは、単に美味しくて栄養価が高いだけではなく、春には春の身体といったように、私たちの身体を季節に合わせ整えてくれます。生活工房「とうがらし」を主宰されている金丸佐祐子さんが伝える日常食の「おいしさ以上のもの」とは、大自然からいただく喜びであり、心蔵が感じる生命のぬくもりです。

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