愛は農園にある。 第四葉。
ここさんぽ 中川ゆか
桜が終わり、新緑が眩しい季節ですね。お寺や神社の境内には古くから植えられている木が多く、いつ訪れても折々の草木が楽しいものです。
お寺でお庭を楽しみながら精進料理をいただくことがあります。
精進料理に沢庵がついている場合、1切は最後まで食べません。料理を食べ終わった後に、お椀を洗う「洗鉢」に使うためです。
洗鉢では、まず食べ終わったお椀に熱いお湯を注ぐ。そして沢庵を使ってお椀に残った汁や食べ物のかけらなどをお湯に溶かし、きれいに洗っていく。洗うのに使ったお湯を全部飲み、沢庵も食べて洗鉢は終わり。
洗鉢をすると、料理を全部食べたつもりでもお椀にかけらや汁が意外と残っていること、ひと手間かければ残さず食べられることに気がつきます。
そうすると、食べ物のひとかけら、汁の一滴まで大切に扱う気持ちが生まれます。
洗鉢の最後に飲むお湯は、食べ終わった料理を少しずつ含んだスープです。
その日の食事を振り返りながら口がさっぱりする、程よい余韻を味わうことができます。
時間と気持ちにゆとりがあるときは、家でも洗鉢をしています。沢庵はなくても大丈夫。熱いお湯、緑茶や麦茶など、その日の気分で洗鉢の風味を変えることも楽しみ。
洗鉢でお椀の汚れがほとんど取れるので、食器洗いに使う水は少なくて済みます。食べ物の汚れが下水道に流れ出さず、環境への負荷も減ります。
残り汁を流すと水が汚れるところ、洗鉢では食後に最適なスープができます。
調理中に出る野菜くずや、食べ残しはどうでしょうか。これらの生ごみは90%が水分なので、可燃ごみとして燃やすと大量の燃料消費とCO2排出をすることになります。
他方、生ごみを土に入れれば微生物が分解して、コンポストにすることができます。
コンポストからは、入れたかぼちゃの種やじゃがいもの皮から芽が出てくることがよくあります。栄養が豊富なんですね。コンポストは庭や畑の土として利用可能です。
コンポストにすればごみの量が減り、生ごみの匂いに悩まされることもなくなります。
越谷のリサイクルプラザでは、木製コンポストである「キエーロ」を昨年から販売し始めました。自分で組み立てをして無料で入手できる工作教室も開催しています。
また新百合ヶ丘の「コンポストフレンズ」はコンポストのある楽しい暮らしを提案するお店で、ライフスタイルに合ったコンポストの販売やワークショップ開催を行っています。
大切な食べ物を洗い流したり燃やしたりすることなく、楽しく活用していきたいですね。
*苗づくりで種を色々蒔きましたが発芽しません。苗づくりは難しいですね……!