春はたけのこ こつこつ竹を使う役目は。愛は農園にある。第三葉。

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 ここさんぽ 中川ゆか

春が訪れ、筍の旬になりました。私は筍と木の芽の取り合わせが大好きです。ほっこりした中に微かなえぐみがある筍と、鮮烈な山椒の香りがたまりません。

 筍は竹林で育ちますが、竹の成長・繁殖はとっても活発。放っておくと辺り一面が竹になって、着々と陣地を広げていきます。1日1メートル成長することもあるという竹の林冠はあっという間に空を覆い、林の中に光が届きませ。低木は枯れ、虫や動物の住み家がなくなります。竹だけが生い茂って、生物多様性が失われていきます。

 そこで、人が竹林を定期的に手入れする必要があります。剪定・伐採は人の都合で、植物からすると迷惑かな?と思っていましたが、人が適切に管理した方が生物多様性と循環が守られるそうです。自然界に人の役目があるのは嬉しいことですね。

 ところが、近年は多くの竹林が放置竹林となって管理されていません。昔は竹林が整備されていましたが、なぜ今は放置されているのでしょうか。

 以前は生活用品を竹で作っていましたが、現代では石油から作ったプラスチック製品が主流です。プラスチックは成型が簡単ですが、遠くの国から多くのエネルギーを使って運ばれる、限りある石油が原料です。プラスチックは使い終わって捨てても自然に分解されず、何百年も残って大地や水、空気を汚すため、持続可能性に問題があります。

 一方、竹は日本で自然に生えてきて、輸送のためのCO2も少なく済み、使用後は土に還ります。竹製品は傷むこともありますが、もともと買い換えるのが前提とのこと。こつこつ買い換えることで、地域の竹細工の技術、職人の生活、職人と地域の利用者のつながりが守られ、地域の竹林が管理されます。竹ざる、物干し、支柱など、日常生活にもっと竹製品を取り入れたいですね。竹製品はプラスチックよりも置いていて絵になります。

 ただ、人が使う日用品の量には限りがあります。旺盛に育つ竹を、竹細工だけでは使い切れません。竹をもっと使う方法に何があるでしょう。
 
 竹炭は土に入れると、土壌をふかふかにする微生物のよい住み家になるそう。菌ちゃん農法など有機農法でも大活躍しています。また、合同会社森に還すでは、地域の放置竹林から作った竹チップの猫砂を販売しています。天然の消臭効果が抜群なうえ、有害な化学物質がなく、猫も人も安心。使用後は庭や畑の肥料として土に還すことができます。まさに「森に還す」ですね。

 竹林は番傘を差して歩くことができるくらいの密度がちょうどよいと言われます。実家に竹林がある知り合いの話では、竹が混んでくると筍がえぐくなるとのこと。おいしい筍を食べるためにも、竹をどんどん使っていきましょう。

*母が申し込んだ「いきいき農園」は当選でした!親子3世代で畑を楽しみたいです。

愛は農園にある。

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