傷んだ服に新しい命を吹き込む            藍染の永遠

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       愛は農園にある。第六葉 

     ここさんぽ 中川ゆか

 さくらんぼの季節になりました。赤くつややかなさくらんぼは子どもの大好物です。
 子どもが3歳くらいまではよく食べこぼしていたので、夢中になって食べるさくらんぼの汁で子どもの白いTシャツに黄色い染みがついてしまいました。
 果汁の汚れはなかなか落ちず、白い服に染みは目立ちます。いっそ染めてみたらどうだろうと思い、越谷市増森にある藍染工房ふしぎぽっけさんにそのTシャツを持ち込んで藍で染めてみました。

 藍に浸けた部分は濃い青に染まるので、生地の白く残したいところをつまんだり、縛ったりして模様をつけます。どんな模様になるかは染まってからのお楽しみです。
 模様は絞りを解かないと見えず、しっかり縛らないと全部青く染まったりしますが、思うようにいかないところが面白いところ。自然の力を借りてできた、藍と白のゆらゆらとした境界線、藍の染まり具合の濃淡は、いつまで見ても飽きません。自分で染めた服は楽しい藍染の思い出もよみがえって、喜びもひとしお。果汁の汚れは全く見えなくなりました。

 藍染は使っていくうちに色が少しずつ薄れていきますが、何度でも染め直すことができます。藍染のエプロンを何度も染め直して使っているというふしぎぽっけの方が「藍は永遠」と語っていたのが素敵でした。染め直すたびに服の新しい表情に出会えますね。
 
 飽きた服、傷んだ服を捨ててファストファッションを買うと、労働搾取、環境破壊を加速します。他方、汚れを染め、穴をダーニングすれば、新しい価値を加えて楽しむことができます。
 藍で染まるのは綿や麻など天然繊維だけで、プラスチック繊維は染まりません。藍染は大地からの恵みでできている。
 「服薬」という言葉があるように、古来、服は薬でした。服の繊維や染料の成分が肌から浸透し、体を癒したそうです。藍はタデ科の植物で、解毒、殺菌、虫除けの効果があるので、汗をかく夏にすっきりして最適。藍には保温効果もあるので、冬も暖かに過ごすことができます。
毎日肌につけるものは天然の素材だけにして健やかに過ごしたいもの。傷んできたら、繕ったり、染め直したりして、大切な服と長くお付き合いしたいですね。
 
*市民農園では、食べ残しの菊芋を植えたのがいちばん元気に伸びています。

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