人と地球をつなぐ 軽やかな贈り物  愛は農園にある。  第十二葉 ここさんぽ 中川ゆか

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年末が近づき、日が暮れるのが早くなりました。クリスマスプレゼントやお歳暮など、贈り物を考える人も多い季節です。テレビや雑誌、SNSでもギフト情報があふれています。

 ですが、物があふれる今の暮らしでは、プレゼント選びは簡単ではありません。多くの人はすでに十分な物を持ち、必要なものは自分で買うことができます。考え抜いて選ばれた贈り物も、しばらくすると使わなくなることが多いでしょう。使わない物は部屋を狭くし、視覚的にも心理的にもノイズとなり、負担になることがあります。手放すにはリユースショップやフリマアプリ、リサイクルも方法ですが、輸送や梱包、処理に資源やエネルギーを使います。だからこそ、まずは物を減らす「リデュース」を優先し、リユースやリサイクルは補助的な手段として活用するのが、人にも地球にも優しい選択になると思います。

 では、物を贈らずにできるプレゼントは何でしょうか。おすすめは、体験を贈ること。レストランの食事券を買わなくても、自分でチケットを手作りすれば素敵なプレゼントです。カフェや鉄道の小旅行、映画鑑賞、いちご狩り、藍染体験やお寺の宿坊体験も魅力的。近くなら一緒に行くことで楽しい時間になります。買って渡して終わりよりも、共に体験する方が、より濃密な時間を過ごせます。遠方なら、かかった費用を送ることで、その人の体験を応援する贈り物になります。

 もう一つ嬉しい贈り物は、地場の野菜。毎日の食卓を支える野菜は健康的で、地域の農を守る未来への投資にもなります。ここさんぽの映画会でも、野菜での入場料を歓迎しています。野菜は生活に欠かせないものだからこそ、誰にとっても価値ある贈り物です。料理をしない人でも、近所の人や友人におすそ分けしたり、料理好きの仲間と料理会を開いたりすることで、野菜が人と人をつなぐきっかけになります。さらに野菜には「傷むからこそすぐ使う」という良さがあります。雑貨や電化製品のように溜め込むことがなく、もし食べ切れなくても土に還って循環の一部となります。

 体験や野菜のような贈り物は、暮らしを軽やかに、生き生きさせてくれます。自由な発想で、地球にも人にも優しい贈り物を考えていきましょう。
 
*写真は先日の芋煮会で、手作りの干し柿を公園の木につるし、自分で取って自由に食べてもらうスタイルにしました。子どもにも大人にも人気でした。

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