グローバル経済の中で      翻弄される日本農業の未来    

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  野菜情報VOL.754 令和7年6/15~6/21

 「ショック・ドクトリン」という政策手法をご存じでしょうか?CIAが中国共産党の洗脳テクニックの研究により生まれた手法で、テロや戦争、自然災害などのショッキングな事件が起きた時、国民がパニックで思考停止している隙に通常なら炎上するような政策(規制緩和、民営化、社会保障切り捨て)を速やかに進め、権力や富の集中を進めるというものです。連日、備蓄米の報道にマスコミが埋まる「コメ・クライシス」の中、何が今、権力者の手で進められているのでしょうか?

 2年前の野菜情報VOL.656「『放射線照射による品種改良 何が問題か』その学習会のご報告」でその危険性を取り上げましたが、今年から秋田県が供給する種もみが、ほぼ全量「あきたこまちR」に切り替わりました。「あきたこまちR」は重イオンビーム放射線育種の品種で、今まで秋田県の種もみは殆ど自家採種が自由にできました。しかし今年からは7割以上がこの特許米(種の購入)にかわり、2030年までに秋田県で生産されるお米の全量を切り替えるように進めていくという事です。この遺伝子塩基を欠損させて作る「あきたこまちR」の問題点は多々あります。その1つが遺伝子の1塩基が欠損する事により、フレームシフトが起こり、これまでに存在しなかったタンパク質がつくられる可能性あるという事です。フレームシフトとは塩基が1つ欠損する事により、それ以降のアミノ酸の配列がすべて変わってしまう事です。そしてそれがアレルギーの原因になったり、それ自体が毒性を持つ可能性すら否定できません。現実的に過去、遺伝子組み換え大豆でそうした問題が実際に報告されています。私たちは大豆を食べる時は生のままだと下痢をおこすので、加熱して食べていますが、この下痢をひき起こすトリプシン・インヒビターが110℃で加熱しても壊れず、220℃まで加熱してやっと壊れてモンサント社の安全審査をかいくぐっています。

 食料品の殆どを輸入に頼り、自給率100%であったコメすらその生産維持が怪しいという中で、我が国の政府は「フードテックの推進」(放射線育種・代替肉・ゲノム編集他)や「農業の大規模化」を進めようとしています。「スマート農業」「デジタル農業」と華々しく取り上げられている「農業の大規模化」ですが、通信衛星で農場の状態を監視し、AIが農薬や化学肥料の散布を指示するという未来像が取りあげられており、その技術を開発したのがバイエル(旧モンサント)です。バイエルの種をまき、農薬を使い、その中に有機農業の概念はなく、タネで人類の「食」を支配しようとした遺伝子組み換え企業が、今度はAI企業になりすまし支配を強めようとしています。

 地場の生産者の方々と「げんきの市場」スタッフとの懇親会を開催した時、参加した6名の生産者の方全員が1人農業でした。生産者の吉沢さんは「家族農業は3人いて成り立つもので、1人農業だと日々を維持するので精一杯なのが現実です」と話されていました。経済の本来の目的は「成長」ですが、農業の本来の目的は「生命の循環」です。そして、経済性で進むほどに生命を守る事から遠ざかって行くのが農業の現実です。私たちの暮らしの中にオーガニックの生産者がいて野菜が届く、今の私たちの「食卓」はまさしく理想のような世界です。その暮らしが私たちの中で長く続くように、私たちが生産者の農業をサポートする仕組みを皆さんと一緒に作れないでしょうか?

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