記録的な猛暑の中で     私ちが気づくべきこと  野菜情報VOL.761 令和7年9/7~9/13

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 年間猛暑日の日数が観測史上を超え、さらに連日猛暑日日数も過去最多を続ける中で、現在の畑の状況を山崎さんにお伺い致しました。「この時期にこんだけ暑い日が続くと、今年の秋野菜は厳しいですね。とにかく雨が少ない。その上この猛暑…。まだ、気温が30℃位なら、水やりをして定植すれば根も活着しますが、35℃にもなると水やりをすると地温で煮えて、野菜がまともな状態に育ちません。それでもし定植を遅らせば、急に寒くなり成長が止まります。昨年も猛暑で、大根とブロッコリーを9月の中旬にずらして定植したのですが、11月下旬には寒くなり、成長が止まってしまいました。昔からの農家のことわざで、『1日種まきが遅れたら1週間収穫がずれる』と言われているんですが、この異常気象だと秋がなく、夏から急に冬に変わるので、決まった時期に定植しないと出荷が遅れてしまいます。なんとか通常通りに行いたいのですが…、厳しいですね。」

 同じように吉沢さんにもお伺いすると、「酷暑の上にまったく雨が少なく、今までに経験したことがない夏です」との事。「梅雨入りの6月初めから今までまともに雨が降りません。低気圧や前線からのシトシトと降る雨が降れば畑に水がしみ込んでいくのですが…。降るには降っても雷雨や豪雨が一時的に降るだけで、こういう急激に降る雨は土の表面を濡らすだけで、中の土は乾いたままです。それに降る雨は局地的で、5~6km離れた松伏で降っていても、うちの周辺(吉川市川藤)では降らなかったりで、うちの地域がまるで雨から見放されているかのようです。去年も同じような猛暑でしたが、8月下旬に5日間位連続で雨が降って助かりましたが…。ダムがある山間部には雨が降っていたので水不足はニュースで取り上げられませんが、農業用の水はまた別で、深刻な状態です。このような状態なので、夏野菜の中でも暑さに弱いキュウリやインゲンが殆ど収穫出来ませんでした。秋とりのインゲンも植えましたが発芽しませんでした。店先には、一応、野菜が並んでいるので、消費者の方たちはこのような農家の大変な状態はわからないかもしれませんね。」

 7月29日、30日の2日で山形県のお米の生産者をおじゃました時も、生産者の方々は水不足で苦しまれていました。梅雨の降水量が例年の31%しか降らず、梅雨明け後はまったく雨が降っていませんでした。庄内地方で営農されている菅原さんは「このまま降らないと8月10日にはダムの貯水率が0%になります。このままだと実際、どれだけお米が穫れるのか…。輪番(地区の順番制)で田んぼに水を入れてもらっていますが、それでも足りないときは当番の人に頭を下げて、水を特別に入れてもらっています。今まで自分がお米を作っているんだと思っていましたが、自然のおかげで作らせてもらっているんだという事を改めて気づきました。」と、話されていました。

 「げんきの市場」がレジェンドと呼んでいる宮田さんも群馬の桐生市の記録的な猛暑の中で野菜を育てています。そして周りの農家や消費者に「自分たちがこうした天候を招いてるんで、それに『天意が働いている』事に気付くべきだと言っているんサね。」そして、「もう気づかなきゃ遅すぎるんだよ。」と伝えているそうです。こうした気候の中でも育ち自然界から届けられる野菜たちを、感謝して美味しく頂く事で、私たちは自然に抱かれている喜びを暮らしの中に養いたいものです。

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