野菜の味の変化からわかる私たちの暮らしがある処 野菜の味の変化からわかる 野菜情報VOL.710 令和6年6/23~6/29

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いつもお世話になっております。先週配達して頂いた小松菜ですが、軸の部分がとても苦味が強く食べられませんでした。葉は、気になるほどでは無かったです。野菜も自分を守る為の苦味成分を出すのかもしれませんが、どんな現象が考えられるのか勉強させて欲しいと思いました。もし、わかりましたら教えて頂きたいです。                  

              Date:2024.6.6

 冒頭のメールは小松菜を購入された宅配のお客様より寄せられました。届けたのは吉川市の名倉さんの小松菜です。名倉さんに問い合わせたところ下記は内容がFAXで送られてきました。

    
     小松菜のニガミについて

いつもありがとうございます。 お客様からの小松菜のニガミについてご連絡します。通常、天気が暑くなればなるほど、ニガミは強くなります。この時期の「やさいかん」(名倉農園の名称)の小松菜は防虫ネットをかけても、どうしても虫に食べられますのでネットをはずし食べられた葉の次に新しく出た葉の成長を待って(それでも食べられますが…)なるべく虫喰いのない葉の株を選んで収穫します。同じ株にとっては一度虫に外葉といえども食べられていますので、防除本能として余計にニガミが増すものと思われます。軸は根と葉の通路が密集していますのでさらに強くなるのではないかと思います。私は、いつも野菜スープのごった煮にしてしまいますので、それほどニガミがあるとは認識していませんでした。                      

              Date:2024.6.7

 
 秋から冬にかけて育つ小松菜は、温度が低くなるにつれて糖分を体に蓄え、冬枯れから自身を守ります。そして、甘い小松菜になります。逆に春から夏に向かう時期の小松菜は活発になる虫たちの活動(食べられる)から身を守るために苦味を蓄えます。栽培されている野菜は自生している植物よりも弱いためにそのようして自身の体を守ります。この状況で苦みの成分は「植物性アルカロイド」という天然の有機化合物です。ふきのとうやヨモギなど春野菜の苦みも「植物性アルカロイド」で、腎臓のろ過機能を高めて、解毒作用を促し、冬の間にため込んだ毒素や老廃物を輩出するのを手助けします。この色々な植物が持つ「植物性アルカロイド」の生理作用は多彩で、人類は古くからこの生理作用を利用して薬としても利用してきました。

 2023年は史上最も暑かった1年でしたが2024年はそれに匹敵する1年になると予想され、すでに30℃を超える日が続いています。この異常気象の中で農作物を生産するご苦労は並大抵ではありません。この時期、小松菜の苦みは農薬で防除する方が抑えられ、また同じ無農薬でもハウスの促成栽培の方が抑えられるでしょう。ただ大自然の中で無農薬に育てられた野菜たちには、スーパー免疫力と呼ばれマクロファージを活性化する「LPS」やガン細胞を体外に排出する抗菌物質「サルベストロール」を多く含有しています。そうした野菜の価値を認めた上で「苦味」という違和感の理由を素朴に知りたいと思われたお客様の思いが、多くの気づきを与えてくれます。

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