伊那の谷ユゥキの会の遠目塚さんにお話をお聞きしました  野菜情報VOL.658 令和5年5/28~6/3

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今年も長野県高遠町(たかとうまち)の宇野さんが主宰する伊那の谷ユゥキの会より野菜が届き始めました。そこで、今週は伊那の谷ユゥキの会事務局をされている遠目塚さんにお話をお伺いしいたしました。遠目塚(旧名:名越)さんは「げんきの市場」の元スタッフで、今から13年前、退職後に単身で宇野さんのもとで就農し、その後結婚をされ、現在は9歳と5歳のお子様を育てながら母親と農業と事務局の忙しい毎日を過ごされています。

 「全国的にもそうなのかも知れませんが、今年は高遠でも春の訪れが早く、例年より1週間から10日ぐらい早い3月の中旬には畑おこしが始まりました。それで4月には桜やリンゴの花といった色んな種類の花がいっぺんに咲きだして、ここに住むようになって始めて見る景色でした。宇野さんご夫妻は人と人とのつながりを大切にされて、私以外にも宇野さんの生き方に共鳴して住み着いた人たちと一緒に野菜づくりに取り組んでいます。私たちの無農薬無化学肥料栽培の野菜を消費者の方は『安全』な野菜だと思うかもしれませんが、それよりも『安心』な野菜だと思ってもらえたら嬉しいです。私たちにとって『有機』は『いのちのつながり』であり、手にした人たちの『安心』につながりたいと思っています。

 高遠へ来た当時は、段々畑が山並に続く一面の美しい景色が大好きだったのですが、今ではサルや鹿、クマといった動物の被害から守るために、畑のまわりには電熱線を囲ってその中で畑仕事をしています。動物たちからはまるで、私たちの方が、檻の中にいるように見えていますよ(笑)。それと景観が変わったと言えば、ソーラーパネルがあちこちにドンドンできました。それが、諏訪大社の御神体の守屋山まで広がりソーラーパネルに覆いつくされてしまって…。人間は自然を無秩序に壊して、山に住む動物たちの居場所を奪い、それでいて里に下りてくるなと言われても、何も言い訳出来ない動物たちも気の毒ですね。」

 遠目塚さんは大学を出た後、群馬の北軽出荷組合で農業の研修を経て、大手の産直宅配サービスRで働きだしました。そこで消費者からのクレーム対応の担当をしていた遠目塚さんは、毎朝100枚くらいは届くクレームカードの対応に追われました。そして、消費者の求める虫食いのない安全な野菜と、出荷が出来なくなり途方に暮れる農家の人たちの事を思いながら毎日を過ごしていたそうです。そんな時、家の近くの「げんきの市場」を知り、退職をして私たちと一緒に約3年近く働いてくださいました。そして、その間も矢部さんに畑をお借りして野菜を育て、名倉さんの畑にお邪魔して農業を学ばれていました。

  「『げんき』で働いていた当時は、一生懸命に夢に向かっていました。それでたとえ世の中を変える事は出来なくても、自分の事なら変える事は出来ると思い長野にきました。それが今、なぜかそれが消えて安心感に包まれているんです。農業に関わって、自然に育まれ、自然の厳しさを知り、それでも『変わらぬように季節はめぐってくる』という安心感なんです。」作り手となった遠目塚さんが大自然に繋がる事によりたどりついた世界こそ、宇野さんご夫妻と伊那の谷ユゥキの会が、野菜と一緒にお届けしたい「安心」なのかも入れません。

 

 

 

 

 

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